【新潮流界隈マーケティング<第6回>】【KEEN寄稿】

3000フォロワーが10万フォロワーに勝つ条件
ー実績とデータが示す「人選」の物差しー
KEEN株式会社が提供する界隈マーケティング支援サービス「KEEN界隈DB」は、「どの界隈で、どのような文脈でブランドが語られているかを理解し、最適なコミュニケーション施策へとつなげる」をコンセプトに、SNS時代の美容マーケティングにおける新しい情報構造を読み解くための視点と手段を提供している。本連載では、「界隈」を単位に動く美容消費の実態を、具体的な事例とともに考えていきたい。
インフルエンサーのキャスティングでは、今もフォロワー数が最初の物差しになりがちである。しかし当社KEENが支援した20案件、商品受領者1345名のUGC実績を分析すると、ギフティングではこの物差しだけで成果をほとんど説明できない。
まず投稿率である。フォロワー1000人未満では65%が投稿したのに対し、1万~3万人では34%、3万~10万人では13%、10万人以上ではわずか8%。影響力の大きな人にギフトを送っても、そもそも語ってもらえない。
「1送付あたりの表示回数」で見ると、1万~3万人の帯は約8600回と最も効率が良い一方、3万~10万人の帯は1781回まで急落し、1000人未満の2376回を下回る。10万人以上は約2万回と突出しているが、62名中5名の投稿に引っ張られた数字である。全UGCの表示回数は上位1名で23・5%、上位10名で57・5%を占める。フォロワー数だけで選ぶキャスティングは、宝くじに近い。
では何を見れば「語る人」を見つけられるのか。同じデータから、フォロワー数より強い変数が三つ見えてきた。
一つ目は、過去に同ブランドの提供品を受け取った際に投稿したかどうかである。一度でも投稿した人は次回も66%が投稿する一方、投稿しなかった人は21%にとどまる。二つ目は発信の継続性である。直近90日の投稿が10件以下だと投稿率は30%を下回る。三つ目は「界隈」。1~2の界隈でしか発話していない人の投稿率は20%にとどまる。
「だからナノインフルエンサーを選べばいい」という話ではない。フォロワー数とは別の場所に「語る人」のシグナルがあるということだ。
実際、これらの指標で上位25%を選んで届けると全体の表示回数の62%を獲得できる。フォロワー数の上位25%では44%にとどまる。
この物差しは、有償のショート動画タイアップにも当てはまる。ショート動画はアルゴリズムがフォロワー外へ配信するため、フォロワー数と再生数の相関はさらに弱まる。効くのは、その人が界隈の中で日常的に語り、反応を得ているかどうかである。次回はこの点を実測データから掘り下げたい。
フォロワー数から「語る力」へ。物差しを変えることが、キャスティングを運任せから再現可能な施策へ変える道だと考えている。
(KEEN代表・小倉一葉)




