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【入浴剤市場】縮小傾向も浮上に期待、「睡眠」に続き「エンタメ要素」のニーズ拡大か

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【入浴剤市場】縮小傾向も浮上に期待、「睡眠」に続き「エンタメ要素」のニーズ拡大か

 2022年は5・7%減も、20年とほぼ横ばいに


 コロナ禍のおうち時間の特需で拡大した入浴剤市場。その勢いもコロナの騒動が収まるのに伴い落ち着きを見せ、更に、あらゆるものの値上げによる生活防衛意識の高まりが、特に嗜好性の高い入浴剤には、向かい風となっている。これから秋冬の需要期を迎え、各社はどういった価値の提案で、市場の活性化を狙うのか。

 入浴剤のトレンドどう掴む
 入浴剤市場は、2020年の535億円から、21年に6・3%増の568億円に拡大した。22年は5・7%減の536億円に縮小したものの、20年とほぼ横ばいであることから、市場全体が大きく落ちこんだわけではないとの見方もできる(当社推計)。
 23年上期(1~6月)は、やや苦戦したが、7月単月では4%増、8月は横ばいと復調傾向にある。需要期のスタートとなり、各社の新商品展開が本格化する10月にどこまで盛り返せるか、が今後のポイントとなりそうだ。
 メーカー別、ブランド別の動きでは、今年6~8月の金額データ(全国ドラッグストア・食品スーパー合計)で単品シェア上位10位のうち、1位から7位までを花王「バブ」が独占。メーカー別では、花王と、アース製薬・バスクリン・白元アースのアースグループで非常に高いシェアを占めている。
 「バブ」については、ロングセラーとして安定感ある動きを見せているが、昨年、今年とこれまでに無かった視点での展開で話題を集めている。昨年は「バブ モンスターバブル」で注目され、若年層を中心に市場活性化への一定の成果を残した。今年はその勢いをもとに「バブ あふれるのはきっと、お湯だけじゃない(たくらみ/出会い)」という異彩を放ったネーミング及び個性的なパッケージデザインの商品を投入。情報過多な現代に「なにもしない」ことを入浴時に求めている若年層をターゲットに、10分間継続する炭酸泡の音を聞きながら、様々な情報をシャットアウトする「没入入浴」を提案するという。単価も高価格帯に位置しており、市場全体の底上げには効果的な商品と考えることができる。
 ここ数年、入浴剤に対し、子供向けを始め“エンタメ要素”の需要が伸長。コロナ禍で高まった「お風呂時間を楽しみたい」という気持ちが継続しており、上記の「バブ」2品はそこへのフィットを目指した感もある。

 中性重炭酸入浴剤は3年間で売上高を10倍

 アース製薬の取り扱いになった「BARTH」ブランド
 その他、トピックスは、アース製薬が中性重炭酸入浴剤を中心とした人気ブランド「BARTH」を、TWO社から譲受し、展開を開始したこと。中性重炭酸入浴剤は、発売から3年間で売上高を10倍にし、市場の拡大、単価アップに大きく貢献するなど、業界に新たな風を吹かせた。展開開始の8月には、リブランディングし「ナイトウェルネスブランド」として提案。もともと、マーケティングやプロモーションに秀でていた「BARTH」の展開に、アース製薬の強みでもある営業力、販売力を加えて、市場シェアを高めていく考え。
 また「BARTH」のような重炭酸タブレットタイプでは、クナイプジャパンの「クナイプ スパークリングタブレット」の人気ぶりが目立つ。タブレット市場は、無香料・無着色カテゴリーが縮小傾向にある中、香りを価値訴求としたようなプレミアムラインが、前年比2桁増で伸びており「クナイプ」も圧倒的な香りの良さで市場拡大に貢献しているという。その他、高価格帯シャンプー市場で人気のあるステラシードの「エイト ザ タラソ」も昨年からCBDを配合したタブレットで市場に参入しており、今後更に競争が増すと予想される。
 最近では「夜」「睡眠」といった観点で、店頭やSNSなどで取り上げられることの多い入浴剤。今後、メーカーや小売店がどういった価値を提案していくのか、また自然発生したニーズにどう対応していくのか。市場の将来を左右する大きな分岐点を今後迎えそうだ。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」10月9日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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