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特集・ラップフィルム——生産体制整い安定供給へ

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特集・ラップフィルム——生産体制整い安定供給へ

原料・資材価格上昇へ対応も

 

 ようやく安定的な供給が果たせるようになってきた食品保存用ラップ。近年は事業を撤退する企業もあってやや停滞ムードもあったが、ほぼ全てのメーカーの生産体制が通常通りに戻ったことを受けて、需給関係も正常化。今後は再活性化へ向けた取り組みが活発に行われそうだ。

 2017年のラップ市場を振り返ると、年初あたりまでの供給不足分がやや影響して面積ベースでは前年より若干減少したものの、「特売がほとんどなく、安定した価格で推移した」(メーカー関係者)ことで、金額面では微増ながら前年を上回ったと見られる。この傾向はしばらく続き、更に今年に入ってメーカーの生産体制が整ったことで供給が確実に安定化している。

 旭化成ホームプロダクツ、クレハの大手2社が引き続き生産体制を強化しているのに加え、ポリエチレン製ラップでは生産拠点を再編成して設備の移設を進めていた宇部フィルムが本格稼働を再開、その他の各社も安定供給優先の姿勢でニーズに応えている。

 一方で、ポリ袋などを主力として手がける日本技研工業がラップ市場に参入。新たな刺激をもたらすか注目を集める。

 物不足感の解消に伴い、各社のプロモーションや販促施策も活発化していきそうだ。旭化成ホームプロダクツは、3月から「サランラップ」のリニューアル発売を推進。若年層を中心に人気が高まるキャラクター「たぶんクマ」を用いたCMや各種企画で、より高い支持を集めようと積極的なところを見せる。

 クレハは、17年秋にパッケージリニューアルを実施したこともあり、今年度中のリニューアルはしないことを明らかにしているが、「クルミ・クルリ」シリーズのCMに加えて、ウェブサイトの充実、SNSの活用やユーザーによるコミュニテーの拡充と、ロイヤルカスタマーづくりを進めている。

 設備トラブルが解消し、計画通りの生産が可能になった宇部フィルムは、更に6月から増量企画を実施して需要喚起を図っていく。


再活性化へ積極策


 とはいえ、将来的に人口減少、世帯数も伸びが止まり減少に転じることで、ラップに限らず日用品の市場が爆発的に拡大する可能性は低い。最近の原油価格の高騰、これに伴い原材料や副資材の価格も上昇、物流費や人件費、その他のコストアップ要因も大きな課題として残る。すでに、一部メーカーでは製品価格の改定に踏み切るとしており、適正利益の確保へ向けた取り組みが引き続き求められそうだ。
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