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【有力企業の決算ポイント】”稼ぐ力”を身につけ成長へ

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【有力企業の決算ポイント】”稼ぐ力”を身につけ成長へ
先を見据えて収益力向上図る各社

 日用品・化粧品の有力企業の2025年1~6月期、また4~6月期の決算が出そろい、今年前半の市場の動きが見えてきた。社会的環境の変化、突発的な出来事、その他の様々な要因から難しい局面も多々あったが、業界内外で昨今進んでいる「稼ぐ力」に磨きをかける動きが目立ち、概ね堅調と言える推移を見せている。

 花王の1~6月期決算は、今年掲げた「稼ぐ力を向上させながら、利益ある成長を伴うグローバル売上拡大の基盤作りを計画通り推進」を地で行く結果をもたらした。売上高は前年同期比2・7%増ながら、営業利益は約2割増加し、営業利益率も7・4%から8・6%に上昇した。日本国内事業で収益基盤がより強固になったことを最大の理由として挙げ、中でもファブリック&ホームケア分野が引き続き好調に推移しシェアも拡大、化粧品分野は注力6ブランドの成長で収益性が大幅に改善し6期ぶりの上期黒字化を達成するなど寄与した。注力するヘアケア分野は「改革」から「成長」のステージに入ったとし、更にUVケアや化粧品など、成長ドライバー領域でのグローバル成長施策を展開し、実績を積み上げている。
 化粧品最大手の資生堂の1~6月決算は、売上高7・6%減。日本国内は前年並みで推移したものの、中国のトラベルリテールなど海外で苦戦が続く。ただし、コア営業利益は5%増加しており、「全社的コストマネジメント強化と構造改革効果の発現による増益」と、固定費を低減しながら、変化の激しい市場でも安定的な利益を出す事業構造を目指す動きに成果が見られるとする。下期も売り上げ面でリスクを見込むが、引き続き構造改革の加速や全社を挙げたコストマネジメントでコア営業利益の増加を狙う。
 コーセーの1~6月期決算は、中華圏での減収を好調な国内売り上げがカバーして売上高0・9%増。しかし、営業利益は17・7%減と厳しい状況に。この最大の理由は販管費の増加で、新規に連結対象となったピューリ社におけるのれん償却を始めとする費用の上乗せに加え、タルト社での物流費の増加が影響したという。通期では、上期に4割減となった経常利益のマイナスを4%台に圧縮し、売上高4・1%増、営業利益も15%以上の拡大を目指す。
 ユニ・チャームの1~6月決算も、海外事業の影響が表れた。過去最高となった日本国内で4・1%増、海外で9・2%減だった売上高はトータルで4・8%減少した。また、前期が過去最高益だったことの反動や、アジアでの戦略的投資の影響で営業利益は2割ほど減少した。それでも先々に悲観的な展望はなく、アジアの課題を織り込んで業績予想を修正しており、下期以降の回復を視野に対応を加速させる考えだ。
 海外事業が増収となったライオンの1~6月期決算は、売上高は微増ながら、独自の指標である事業利益が3割以上の大幅増となり、収益力強靭化の推進が奏功している。特に「4~6月は粗利率が改善し、稼ぐ力が向上した」と分析し、競争費用をより戦略的に投下し、持続的な成長に向けた収益体質強化も進捗しているとして、今後の成長に自信を示す。
 また、大手卸売業の4~6月期決算も明らかになった。
 PALTACは売上高4・3%増、営業利益2・1%増と堅調な滑り出し。節約志向とコスト上昇が続く中、外出需要や気候要因が市場を下支えし、また、帳合の獲得に加え、付加価値の高い新規取り扱い商材の拡充も奏功したとする。
 あらたの売上高は11期連続で過去最高を記録したが、営業利益、経常利益はマイナス。粗利率の高い夏物商材の動きが遅れたのに加え、物流センターフィーが発生する企業との取り引きが増加したことを要因として挙げる。販管費も約4%上昇した。それでも、第2四半期以降は改善傾向にあるとして、取り組みの強化で期末目標の達成を目指す。

(詳細は「日用品化粧品新聞」9月8日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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