【資生堂が1~9月期決算発表】売上高4.0%減も日本は0.1%増

資生堂の2025年1~9月期決算は、景況感の悪化に伴う消費低下の影響が継続した中国・トラベルリテール事業や「Drunk Elephant」の苦戦が継続している米州事業を中心に減収となり、売上高は前年同期比4・0%減の6938億1700万円、現地通貨ベースでは3・2%減、実質ベースでは2・9%減となった。コア営業利益は米州、中国・トラベルリテール事業などの減益を構造改革効果及びコストマネジメントにて相殺し9・7%増。一方で、米州事業の収益性低下を受けて実施した減損テストの結果、のれんの減損損失468億円を計上したことで、親会社の所有者に帰属する四半期損失は439億8300万円に上った。
発表に伴い11月10日、藤原憲太郎社長CEO、廣藤綾子CFOがオンラインなどで業績概要、また新中期経営戦略について解説した。
日本事業は0・1%増収。成長性・収益性の高いブランド・商品・顧客接点へ活動を集中させることで成長の加速に取り組み「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」「エリクシール」を中心としたコアブランドが貢献し、成長を実現した。
中国・トラベルリテール事業は7・6%減収も、第3四半期単体では増収に転じた。中国では「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」がけん引。特にEコマースが大きく伸長した。アジアパシフィック事業は1・4%減収。タイを中心とする東南アジアや韓国で成長も、台湾での市場縮小の影響を受けた。
米州事業は「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」が増収となったものの、「Drunk Elephant」のマイナスが継続し、10・3%減収。欧州事業はフレグランスブランドが力強い成長を見せ、5・0%増収となった。
なお、日本のインバウンド消費の減速、米国市場の減速や「Drunk Elephant」の回復遅れなどが要因で、連結業績予想の売上高は当初発表を下回る見込みで下方修正する。
利益面では、コア営業利益はグローバルで推進しているコスト構造改革効果や、全社を挙げてのコストマネジメントで相殺し、前回予想通りとするも、営業利益、税引前利益などはのれんの減損損失計上などによって前回予想を下回る見込み。
発表会では藤原社長CEOが自社の近況や新たに策定した「2030中期経営戦略」の概要を、廣藤CFOが決算概要を解説した。
新中期経営戦略では、前中期経営戦略で培ってきた基盤をもとにブランド価値を最大化するため様々な取り組みを進め、持続的な成長に不可欠な新たな価値創造へ再投資できる好循環を生み出し、企業価値、社会価値の最大化を狙う。25~30年までの年平均売上成長率については市場を上回るプラス2~5%と設定し、30年にコア営業利益率10%以上の実現を目指す。
(詳細は「日用品化粧品新聞」11月17日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)



