【注目ブランドインタビュー/エステー】「ニャンとも清潔トイレ」加え展開本格化
柱の事業として育成強化推進堅調な伸びが続くペットケア市場。「空気をかえよう」をコーポレートスローガンとし、また、新たにパーパスを制定し、10年後のありたい姿を「日用品メーカーからウェルネス・カンパニーへ」と定めたエステーは、今後の成長の柱の一つとして、この市場での成長を目指している。従来の事業に、花王から譲受した事業も加わり、本格的な取り組みを開始。ペットケア事業部ペットケアマーケティングチームの飯田寛子氏に、現状と今後の方向性を聞いた。
――ペットケア市場の状況をどのように見ていますか。
「確実な成長を見せています。ペットの新規飼育頭数というより、これまで飼ってきた人たちの購入数が増えたり、購入単価が上がったりということが背景にあるようです。また、当社では季節商材も数多く扱っていますが、ペット用品はトイレ関連に限らず、全体が年間を通じて伸びているとの印象です。トイレ関連では、普通トイレが約65%の構成比を占めますが、いわゆるシステムトイレの伸長率が高くなっています。飼育の環境が変化していると考えられます」
――ペットケア事業への参入に至った経緯をお聞きします。
「最初は『エステーペット実感消臭』を2022年2月22日の猫の日に発売しましたが、その約2年前から上市を計画してきました。当時はコロナ禍で、ペット飼育者も急増していました。そこで調査したところ、ペットを飼ったら思った以上ににおいが気になるという声が多く挙がりました。においが原因でペットとの距離ができてしまい、やがて飼育放棄につながってしまうようなケースもあり、これを社会的な課題の一つととらえたことがきっかけです。エステーは空気を軸に商品展開している企業として、社会課題の解決に貢献できるのではと考えました」
――もともと消臭系の商品は御社の強みでもありました。
「最初に投入した猫用システムトイレに加えて、22年9月に発売した『エステーペット実感消臭スプレー』は、当社の主力ブランド『消臭力』との共同開発ということで展開しています。乳酸菌生まれの消臭成分を配合し、猫ちゃんがなめても安心な思いやり処方となっています。粒子が細かく拡散性のあるトリガーを採用しているため、固まるタイプの猫砂でも固まらずに使用できる特長もあります。また、今年春には天然由来成分を配合した猫ちゃんのウンチ・オシッコ専用の置き型タイプの消臭剤をラインアップに追加しました」
――これらの商品の動きはいかがですか。
「認知度の高い『消臭力』との共同開発ということで、まずは使ってみようという声をいただき、実際に手に取っていただいた後は、確かな効果を発揮するということで好評をいただいています。猫砂にスプレーしても固まらないという点も明確に表記していることで、より安心なものという評価につながっているようです」
――流通からはどんな評価が寄せられていますか。
「当初は、後発メーカーのためブランド認知を課題としていました。ペットのにおいに悩んでいる方々へターゲットを絞ってアプローチしてきました。ユーチューブの動画広告、イベントへの出展を行い、認知獲得に向けた取り組みを進めてきました」
――商品だけでなく、社会活動にも注力しているようです。
「犬ちゃんは5割程がペットショップでの購入から飼育されていますが、猫ちゃんの場合は譲渡や保護により飼育を始めるケースが多くなっています。殺処分は減っていますが、譲渡数は非常に増えているのが現状です。本来、社会課題の解決のために構築したブランドですので、同時に飼い主さんも猫ちゃんも幸せに暮らせる社会の実現を目指した『保護ネコ応援プロジェクト』を開始、保護猫団体への訪問、商品の寄贈、譲渡会の参加などを行っています。においの悩み解決とプロジェクトへの取り組みを通じて、お客様との接点づくりを心掛けています」
(詳細は「日用品化粧品新聞」7月8日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)