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【特別インタビュー】アライドアーキテクツ・番匠達也プレジデント/インバウンド再開に向けた施策とは

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【特別インタビュー】アライドアーキテクツ・番匠達也プレジデント/インバウンド再開に向けた施策とは


 コロナ禍で変化したプロモーションに同調できた日本ブランドは伸長

 日本政府の訪日観光客受け入れ再開が決定し、インバウンド回復に大きな期待が寄せられている。コロナ禍前の2019年は全訪日観光客数の3割にあたる約900万人が訪れ、旅行消費額も約1・7兆円とトップだった中国。現在は海外旅行自粛の指示が出ているといはいえ、再開に向けた対応を視野に入れる日本企業は多いだろう。戦略のアップデートには何が必要となるのか。アライドアーキテクツクロスボーダーカンパニーの番匠達也プレジデントに、中国国内の状況や日本企業が取るべき施策について聞いた。

 ――中国国内のコスメ市場では、国産ブランド人気が高まっているそうですが、日本ブランドへの関心は下がったのでしょうか。

 「コロナ禍以前の2019年頃から、自国のブランドの価値を高めようという中国政府の方針もあり、Z世代を中心にファッションやコスメの国産ブランドは注目されていました。投資が集中したことでコロナ禍にあっても上場したコスメ企業もあります。インバウンドにのみ対応していた日本ブランドのパイは、国産ブランドに移ってしまった印象ですが、ライブコマースなどコロナ禍で変化したプロモーションに同調できた日本ブランドは伸びています」

 ――確かにここ数年はECでの競争が激化しましたね。今年は上海などの都市部でロックダウンもありましたが、その影響は大きかったのでしょうか。

 「これまでも都市部を中心に定期的にロックダウンは起きていて、対象エリアでは混乱がありました。近郊の都市が封鎖されたことで、不安になった人による買いだめや、都市部経由の物流がストップすると地方にも影響が出ました。しかし、中国全土で考えると14億人の中の都市部だけなので、経済的にはそこまで深刻な影響とは言えないかもしれません。例えば、上海は2600~3000万人都市。中国国内の消費全体としては前年対比で少し落ち込んでいるという程度です」

 ――昨年の感染状況が落ち着いている時期は、海南島の免税品購入が盛り上がったという話もありました。今後は海外旅行とどちらが選ばれますか。

 「国内の消費を伸ばしたい政府の施策もあって、海南島の免税市場は活性化しましたが、ショッピングだけでなく自然や文化的な建造物に触れることなども旅行の目的です。そのため、海外への需要も引き続き高いと言えますし、日本が常にトップ3に入る人気渡航先であることは変わっていません。また、旅行希望者のうちビザが取れる人は1・5億~2億人とされており、19年の訪日客は約960万人ですから、まだ日本に来たことがない人もたくさんいます。中国国内の所得は上昇しているので、現在は国内旅行を楽しんでいる人も海外への意欲が高まるのではないでしょうか」

 連動するインバウンドと越境ECを全体像で捉える

 ――日本へのインバウンド再開も期待できそうです。それに向けてどのようなことに取り組むべきでしょうか。

 「一つは中国国内のSNSで口コミを生成することです。旅行前にチェックする人が多い中で、日本国内でしか展開していない商品は情報が古いか、そもそも情報が無いという状態。また、中国人旅行者は日本在住の友人の情報も信頼しています。在日中国人は約80万人。そこに対してもしっかりと情報を伝えていく必要があると思います。また、店頭との連携を強化することもポイントです。口コミがしっかりと生成できていれば、小売業もインバウンド客向けの棚確保に動くことができます。まだ準備できている企業は少ないので、早く仕掛けられれば先行者メリットをつかむことができるしょう。また、4月からは先行して中国人留学生約10万人が入国しています。在日中国人と合わせておよそ100万人のマーケットが既にあるので、今から仕掛けるメリットも充分にあると思います」

 ――先手を打つことが大切ですね。他に注意すべき点は。

 「インバウンドと越境ECは連動するものだということを意識してほしいです。在日中国人に受け入れられた商品は、インバウンドでも購入されます。インバウンドで購入して気に入れば、帰国後に越境ECでまた購入するでしょう。これまではECだけに注力していればよかったかもしれませんが、これからは全体像を考えていく必要があります。社内を店舗販促チーム、ECチームと縦割りに考えるのではなく、全体像を描いてそれぞれにミッションを与えるような動きが取れるといいですね」

(詳細は「日用品化粧品新聞」6月27日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で

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