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【注目ブランド戦略・日本製紙クレシア】SDGsにつながる「紙はエコ」を訴求

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【注目ブランド戦略・日本製紙クレシア】SDGsにつながる「紙はエコ」を訴求

 プレミアム4ロール市場拡大へ

 昨年3月末にトイレットロールの通常の12ロールの生産をやめ、長尺ロールのみ展開する日本製紙クレシア。主力の「スコッティフラワーパック3倍長持ち」は、利便性やサステナブルにつながる価値が受け、市場をリードする存在として評価を高めている。坂本陽子家庭用品営業本部長に、市場の現状や拡大への課題などを聞いた。

 ――業界でも最重要課題である価格修正の状況は。
 「なかなか厳しい状況で、まだ道半ばですので関係各位に継続的にお願いしている状況です。修正の実施を発表した時点では、ロシアとウクライナの件は発生しておらず、また、円安も加速しています。業界各社がこの秋以降、更に値上げをしないと今後の商品供給に問題が生じることは明らかです。市場全体の価格は以前より上がってはいますが、消費者の方に『家庭紙の価格が上がった』という認識を十分に与えられていないのが実状だと思われます」
 ――今年の商品展開の施策はどういったものでしょう。
 「この春は『クリネックス』のティシューとトイレットロールをリニューアルしました。当社を代表する商品でもありますので、新たにテレビCMでも表現したように、クリネックスティシューの『やわらかいのにやぶれにくい』を様々な世代に訴求しています。秋は『クリネックスティシューローション 肌うるる』を天然由来の植物性保湿成分に、新たにコラーゲンを配合しリニューアルします。トイレットロールでは『クリネックス』の『システィ』『ソフティ』をリニューアルし、新ブランドの『クリネックス コトネル』を投入します。全て4ロールのラインアップで、付加価値化による需要の開拓に力を入れていきます」
 ――プレミアムの4ロールの販売に力を入れているわけですね。
 「消費者の方に、より自分に合ったものを選択しやすい環境を構築していこうという考えです。4ロールの市場は比較的安定していますし、ロイヤルユーザーは確実に存在します。長尺が支持を集める昨今ですが『システィ』『ソフティ』は、1970年より長巻きなのにプレミアムを特長としてきました。また、この秋新発売する『コトネル』は、アメリカやヨーロッパで主流のブランドで、シートがかさ高でふっくら感や丈夫さを兼ね備えています。パッケージのロゴも海外らしいデザインを採用しています。プレミアムの4ロールは、山積みで販売するという売り方ではないので、市場で当社が選択肢を広げた提案を行うことで、流通の方々からの注目度も高まっています」

 ソフトパックも付加価値推進

 ――拡大するソフトパックへの対応は。
 「確かに市場は伸びていますが、当社は以前から『紙はエコ』という点をうたっています。当社のボックスティシューのカートンは、再生紙を使っていますし、また、廃棄後は再びリサイクルすることができます。当社のソフトパックは5個パックではなく、プレミアム品質の『肌うるる』のみですが、市場拡大のために商品のプレミアミゼーションを継続していきたいと思っています」
 ――同じく伸長するハンドタオルは新製品の投入が見られます。
 「ハンドタオルは『スコッティ』のボックスタイプと『タウパー』の紙包装をこの秋に発売します。伸びているハンドタオル市場ですが、メインはソフトパックで、ボックスタイプの構成比はまだ高くありません。しかし、ボックスタイプは、フィルムがヘタってきて取りづらいということも無く、最後の1枚まで使えます。先ほどもお話したように『紙はエコ』の観点から、販売に力を入れていきたいと考えています」
 ――性別の話に触れづらい時代ですが、御社は業界でも珍しく、営業本部長や、また、マーケティングと開発の本部長も女性が就いています。そのあたりも強みになってくるでしょうか。
 「家庭紙は、今では性別関係なく購入いただいてますが、女性の使用や購入の割合が多いのは事実です。そういった観点をうまく商品展開につなげられればと考えています。性別はともかく、他社には無い、時代に合った商品づくりの体制を整えることは重要なポイントになります。これまではマスに受ける商品がヒットにつながりましたが、需要やライフスタイルの多様化で、お一人おひとりのご要望にいかに応えていけるかという個への対応が注目される時代になってきました。そこにどうクレシアらしさを出していけるかが、家庭紙の分野においても鍵になると思っています」

 (詳細は「日用品化粧品新聞」9月12日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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