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春の注目新製品 一歩先行くのはどの価値か、単価アップを更に推進へ

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春の注目新製品 一歩先行くのはどの価値か、単価アップを更に推進へ

 テレビCMなどにも力を入れ、早期の認知向上を図る

 新型コロナウイルス感染症拡大で初の緊急事態宣言が発出されてから、そろそろ2年が経とうとしている。事の収束には至っていないが、マスク着用の一般化や在宅勤務及びリモート会議の定着など、ウィズコロナの生活様式の浸透が見て取れる。そんな中、日用品・化粧品もこの2年間、新たな需要の開拓が必要とされてきた。この春は各社からどういった新製品が投入されるのか。新たな付加価値をまとめた。
 大手メーカーの動向を見ると、昨年の秋は「バスマジックリンエアジェット」(花王)、「ルックプラス泡ピタトイレ洗浄スプレー」(ライオン)、「ジョイ逆さボトル」(P&Gジャパン)のように、家事の簡略化や時短などを訴求した製品が、おうち時間の増加を背景に注目を浴び、市場シェアを高めた。「外出自粛疲れなどもあって、日用品・化粧品に価値を見いだす需要が高まっている。その結果、一部のカテゴリーでは市場単価が上昇している」という見方が、メーカー及び卸売業の間で広まりつつあり、その動きは今年も続くことが予測される。
 この春の新製品は、全国卸売業の担当者いわく「例年よりトータルで1〜2割少ない印象」「コロナ禍の生活に適した新たな価値を打ち出した商品が多い」「確実に売れる商品の開発が見て取れる」、また「数を多く出して店頭露出を高めようという施策は減少している」といった傾向にあるようだ。
 前述の大手3社の今春の新製品では、ボディソープ、ハンドソープと同様「まさつレス」を提案する「ビオレ ザフェイス泡洗顔料」や、食器の洗う順番を気にせず洗えるという価値を訴求するため改良した「キュキュット」(以上花王)、元々備えていた八つの機能に、40代女性に需要が高まる美白を追加した「システマハグキプラスプレミアムハミガキ よくばりな美白」(ライオン)、キッチン周りのトータルケアブランドとして食器用洗剤以外の市場開拓を狙う「ジョイ」の「W除菌キッチン用アルコール65%」(P&Gジャパン)などが話題か。どれも、今吹いている追い風を背景に、実績あるブランドから投入したもので、従来のようにテレビCMなどの大型プロモーションにも力を入れ、早期の認知向上を図る。
 独自の技術で便益を提供。ブランドをじっくり育成する流れも
 これまでに無かった新市場の開拓では「お風呂の防カビムエンダー」(大日本除虫菊)に期待する流通関係者は多い。くん煙剤の使う手間を省いたことでヒットした「ゴキブリムエンダー」と同じく、ワンプッシュでカビを防止する簡便性が評価されており「おうち時間の増加で男性が浴室の掃除をする機会が増えた。特に、男性は性能、機能にこだわる人も多く、価値を認めれば多少高くても迷わず買う傾向にある」(全国卸売業)ことから、話題を集める浴室用市場の更なる活性化につながりそうだ。
 また、市場参入という点では、エステーの「エステーペット」シリーズは外せない。猫用のシステムトイレ、消臭チップ、消臭シートをそろえたもので、コロナ禍でペットを飼う人が増えたことや、独自技術の「クリアフォレスト」の消臭成分が猫の排泄臭に高い効果があることを見いだして参入した。ペット用品は競合も多いが「猫は使い慣れたトイレを愛用する傾向にあり、新しいものを使うにはハードルがある。そのため、まずは、抵抗の少ない消臭シートで他に無い価値を、飼い主の方に知ってもらいたい。5年後、猫用トイレ市場のシェア10%を目指す」(エステーブランド担当者)と徐々に市場を切り開くプランを示している。

 今までに無かった剤型や使用感などによる新提案を

 日やけ止めは大手の3ブランドが新展開
 この春は、コロナ禍の影響で市場が縮小した季節品の回復、拡大に向けた強化が見て取れる。その代表が日やけ止め。これまでに無かった剤型や使用感などによる新提案が目立っている。
 まず「アネッサ」(資生堂)は、紫外線をカットしながら、太陽光をスキンケア効果のある光へと変えるという世界初のアプローチを採用。プロモーションでも全面的にその特長を打ち出している。「アリィー」(花王)は、一部の国や地域での使用規制成分に配慮したビーチフレンドリー処方を取り入れるなど、サステナビリティを追求したブランドへと全面刷新。新シリーズ「アリィー クロノビューティ」も発売するなど訴求の幅を広げた。更に「サンカットプロディフェンスオールインワンUVムース」(コーセーコスメポート)は、ラベンダー色の泡で出てくるという新感覚の一品。美容液64%配合の太陽光ダメージディフェンス処方によって、明るい素肌も叶える。キャラクターには女優の米倉涼子を起用するなど、化粧品のイメージを打ち出して、美容感度の高い層へ積極的にアピールする考えだ。
 その他、ビューティーの分野では、男性用化粧品やスキンケア、ヘアケアなども新興ブランドの更なる拡大で市場は勢いを増しそう。SDGsやジェンダーレスなども含め、今の時代の生活者の価値観は、十人十色から一人十色へとより一層移り変わっている。そういった状況下、ウィズコロナ3年目の今年、どういった新市場が構築されるか、各メーカーのアプローチに大いに期待したい。
 (詳細は「日用品化粧品新聞」3月28日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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