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メイク市場 「落ちない・付かない」中心に提案が活性化、低迷する市場に回復の兆し

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メイク市場 「落ちない・付かない」中心に提案が活性化、低迷する市場に回復の兆し

 コロナ禍で生まれた新たなニーズや提案が好影響を


 新型コロナウイルス感染症の影響で、厳しい状況が続くメイクアップ市場。外出自粛やマスク着用の生活によりベースメイクはもちろん、口紅などのポイントメイクも大きな打撃を受けた。一方で、オンラインで映えるメイクやマスクでも崩れにくいアイテム、マスクで隠れない目回りのメイクなど、各社からの様々な提案により、最近は市場に回復の兆しも見受けられる。今春注目される提案や生活者の動きなどを探った。
 経済産業省の出荷統計によると、2021年の仕上げ用化粧品の累計出荷個数は3億3951万2690個で前年同期比14・4%減、累計出荷金額は2181億4487万1000円で同11・2%減。20年の3〜4割減と比較すると下げ幅が小さくなり、需要が戻り切ってはいないものの、各社の手応えとして「底を打った」「回復途上にある」という声も聞こえ始めた。おしろいの金額、まゆ墨・まつ毛化粧料の個数と金額などは前年を上回っており、コロナ禍で生まれた新たなニーズや提案が好影響を与えているようだ。

 マスクに耐え得るアイテムの需要継続

 各アイテムに共通して言えることは「落ちない・付かない」商品のニーズ増大。ファンデーションをマスクに付きにくくするプレストパウダーやルースパウダー、マスクから漏れる呼気に負けずにカールをキープするマスカラ、口紅の色落ちを防ぐリップコート、リップティントを始めとする落ちにくい口紅など、多数の提案がなされている。特に口紅は外出自粛の緩和以降、会食時などマスクを外した時のギャップを防ぐために、色落ちしない商品を求める傾向が更に高まっている。
 また、マスクを着用した状態では、目元での表現が中心となるため、アイメイクはコロナ禍当初から堅調ではあったが、最近各社が注力しているのがカラーアイブロウだ。髪と眉の色は同じ色味という従来のメイクから、黒髪でもやや明るめの眉色にすることで、あか抜けた印象を与えるという提案が目立つ。また、眉ペンシルなどではっきり描くとシャープ過ぎる印象を与えてしまうことから、ふんわりとした眉に仕上げる眉マスカラも注目されている。こちらも定番のグレーやブラウンだけでなく、ブラウンの中でもピンク系、パープル系、オリーブ系など、ヘアカラーのバリエーションのように豊富なカラーがそろう。店頭で特設売り場を設ける例も見受けられ、生活者の関心の高さもうかがえる。

 メンズメイクのラインアップ広がる

 テレワークやオンライン授業などの定着により、デジタルデバイスの画面を通じて自分の顔を見つめる機会が増えたことで、メイクを前向きに捉える男性も増加した。バラエティーストアなどではメンズコスメコーナーが常設となり、BBクリームやコンシーラー、アイブロウだけでなく、ネイルやリップにまでラインアップが広がりつつある。若年層をターゲットにしたブランドでは、アイブロウやネイル商品のプロモーションに男女のモデルを起用することもあり、ジェンダーレス化により選択肢の幅が広がっていく可能性も感じる。
 コロナ禍という逆風の中でも、新たな可能性を模索して提案を続けるメーカー各社の姿は頼もしい。発売当初から豊富なカラーバリエーションをそろえて選ぶ楽しみを演出したり、商品名にカクテルや音楽記号を採用して遊び心を加えたり、多様なキャラクターとのコラボ企画を行ったりといった動きは、生活者が抱える閉塞感を払拭することにもつながる。生活様式の変化に対する戸惑いを乗り越えていく中で、新定番となる商品が生まれるのか、既存品が更に進化していくのか、今後の展開が楽しみだ。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」5月16日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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