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【ペットケア特集】付加価値商品で市場活性化、コスト高や動物愛護法に伴う課題も

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【ペットケア特集】付加価値商品で市場活性化、コスト高や動物愛護法に伴う課題も

 新規飼育者による飼育頭数は、犬猫共に増加傾向へ

 新型コロナウイルスの影響による在宅時間の増加を背景に、活発な動きを見せるペット業界。新規にペットを飼育する人が増加傾向にあり、ペットへの思いから安心安全な商品の需要が高まっている。一方、原油価格の高騰などにコスト高や、動物愛護法改正に伴う課題などもあり、今後の動向が注目されている。
 犬の飼育頭数は減少するも新型コロナ前より新規飼育者による頭数が増加
 ペットフード協会の「2021年全国犬猫飼育実態調査」では、犬の飼育頭数は710万6000頭(前年734万1000頭)、猫は894万6000頭(同862万800頭)となった。猫の飼育頭数は13年以来、緩やかに増加、犬は減少している。また、猫の飼育頭数が犬を上回る傾向が続いている。
 一方で、新規飼育者による飼育頭数は、犬猫共に新型コロナ感染症拡大前の19年(犬35万頭、猫39万4000頭)に比べて、20年(犬41万6000頭、猫46万頭)、21年(犬39万7000頭、猫48万9000頭)と共に増加した。ペットフード協会の調査では新規飼育者の声として、犬飼育者から「心穏やかに過ごせる日々が増えた」、猫飼育者から「毎日の生活が楽しくなった」などが挙がり、ペットと過ごす時間が増えたことで癒やしを感じる人が増加傾向にあることがうかがえる。
 おやつやウェット系のペットフードの需要が増加傾向に
 ペットフードのタイプ別利用率は、犬猫共に市販のドライタイプの利用が約9割と、多くの飼育者が何らかの市販品を利用。コロナ禍で在宅時間が増えた中、コミュニケーションを目的としたおやつやウェットフードの提供頻度の高まりが見られている。
 また、飼育頭数の減少や犬の小型化などで数量は減少しているものの、金額面では付加価値のある高単価商品が伸びている。各メーカーは、種別や年齢別に特化した商品や、機能性に配慮した商品を展開。機能性のある商品では、乳酸菌入りフードが引き続き増加し、人間と同様にペット自らが免疫を高められるような商品が多く見られる。
 犬猫以外の用品でも順調な伸びを見せるペット用品
 日本ペット用品工業会の調査によると、2020年度のペット用品の出荷額前年比は、犬用が1.2%増、猫用6.7%増、観賞魚用7.9%増、小鳥用11.5%増、小動物用9.3%増、昆虫用7.2%増、爬虫類用10.4%増となり、全体でも4.6%増となった。犬用は、おむつ・マナーパンツ・マナーシーツやトイレ容器の他、掃除洗浄剤、デンタルケア用品、消臭芳香剤といったアイテムが増加している。猫用では、トイレ砂・トイレチップ・トイレシートやトイレ容器が安定しており、玩具、食器類、ケージなども前年を上回った。同工業会では、犬猫以外の生き物の飼育を推奨する「オールペット」を訴求することで、更なる市場発展を目指している。

 コスト高をどう商品価格に反映させるかといった悩みも

 値上げや動物愛護法の改正などの課題も
 近年の原油価格の高騰や、為替変動による円安、コンテナ不足などで、各メーカーでは各種のコスト高をどう商品価格に反映させるかといった課題が悩みとなっている。フードは、円安によって海外からの原料仕入れ値が例年より高くなり、販売価格の見直しを検討するメーカーも増加。用品に関しても、中国のロックダウンにより製造が滞り、商品が供給できない状況もあるという。   また、動物愛護法の改正で、犬を飼育管理するケージの大きさなどの数値基準が定められ、既存のペットショップやブリーダーは販売する生体のケージを大きくしなければならないケースもあり、それが困難なことから廃業を検討するところも散見されるという。これが今後どういった影響を及ぼすか。業界内外から注目を集めることになりそうだ。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」8月29日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で
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