【復調・拡大・発展2023 次の一手を見る/オーラルケア】広がる提案の幅で成長へ
虫歯、歯周病に加え高額美白や環境対応にも注目
継続するコロナ禍の中、健康志向や安心・安全ニーズの高まりを背景に、文字通り順調な動きを示すオーラルケア市場。数量ベースでは前年並みから微減傾向にありながら金額ベースでは近年、数%ずつながら拡大を続けている。巷間よく言われる高付加価値化が進んでいることで1品当たりの平均単価も上昇しており、更に大きな追い風になりそうな施策もあって今後の継続的な成長に期待がかかる。
感染拡大を防ぐための手段として、また自らを守る術としてオーラルケアが注目を集めるのは、口腔の健康が全身の健康につながるという認知が広がっていることを表している。
メーカーや関係者らの啓発活動もあって、ハミガキではより効果効能が高い商品への支持が集まると共に、これに付随した情報発信に期待する声は大きい。
もともと高齢化社会が進むに連れ、中高年層が高価格帯の商品を選択する傾向が強まっていたが、奇しくもコロナ禍で健康志向が一段と高まったことが後押しする形で、市場は活況を呈している。中心は虫歯、歯周病といった主要なサブカテゴリーで、特に医薬部外品の人気ぶりが目立つ。
合わせて、最近注目を集めるのが、いわゆる高額美白の分野。外出機会が増えると同時にマスクを外すケースも増えるとして、歯を白く輝かせたいニーズが女性を中心に急上昇していることは見逃せない。在宅での勤務中にコーヒーなどを少しずつ飲むことで歯に着色しやすいというデータもあり、かつ、これを気にする生活者も増加中。「歯を白くする(見せる)」ことだけでなく、そこに香味や使い心地といったファクターまで取り入れ、需要の取り込みを狙う動きが活発だ。市場では様々な商品が提案され、やはり効果実感の高いものが選ばれる傾向にある。
追い風となるか「国民皆歯科健診」
高付加価値アイテムへの人気高く
ハブラシもまた、機能性や使いやすさ、磨いた後の仕上がり感などにこだわる層が増えてきた。コロナ禍による外出自粛で取り換え期間が長引いたりしたことで一時的に市場が減少したものの、本質的にはハミガキと同様のニーズが高まっているため、徐々に回復傾向が見られるようになってきた。この間も付加価値の高いアイテムの人気が続いていることから、回復のピッチが速まる可能性がある。
また、オーラルケアへの関与度が高くないとされる若年層に向けた提案型の商品も目立ち始めた。詰替用を使用することでエコロジー、サステナビリティに貢献することを訴求する洗口液、ファッション性が高く、それでいて確かな機能と効果を担保するハブラシ、更にはフロスや歯間ブラシ、その他ケア用品の使用を促す事例も増えてきた。
これら施策が実を結ぶための追い風となりそうなのが、政府が検討を始めるという国民皆歯科健診の導入だ。緒についたばかりの議論ながら、様々な視点からの情報発信も積極的に行われており、これを機にますますオーラルケアへの意識と関心が高まりそうだ。
(詳細は「日用品化粧品新聞」1月1日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)