【復調・拡大・発展2023 次の一手を見る/家庭紙】安定供給へ値上げ続く

ソフトパックティシュや環境対応の商材が話題
各種コストの上昇、円安の影響により様々なカテゴリーで値上げが実施された。報道で取り上げられる機会の多かった日用品の代表と言えばティシュ、トイレットペーパーの家庭紙だろう。値上げは来年も控えており、今後も話題を集めることは間違いなさそうだ。
日本の家庭紙価格は以前から「世界の中でも突出して安い」と言われ、適正利益が確保できないといった理由から、数年に一度の割合で各メーカーが値上げを行ってきたが、目標に対して道半ばで終了してしまうケースが多かった。しかし、今回は、コストの上昇がこれまでに無い幅、かつ急激だったことから、各メーカーは強い覚悟のもと値上げを行おうとする姿勢がうかがえた。
昨年を振り返ってみると、春先に、大王製紙が業界に先掛け15%以上の値上げを発表、実施。日本製紙クレシアがそれに続いた。また、中堅メーカーでも、丸富製紙やコアレックスグループなどが同様の上げ幅で実施した。その他、プレス発表は行わなかったものの、値上げに動いた企業が散見された。
この値上げについては、一足先だった大王製紙がリードしたが、更なるコスト増や、掲げた数字を十分取り切れなかったことなどから、秋には、春にプレス発表のしなかった王子ネピアが15%以上の値上げを発表、実施。中堅メーカーも昨年一年で2度目の実施を行い、市場全体として着実な底上げが見られた。しかし、今年早々にも、大王製紙、日本製紙クレシア、王子ネピアが再度値上げを予定するなど、予断を許さない状況は続いている。
「長尺」に続くかちの打ち出し、浸透へ
新たな価値でどこまで市場を伸ばせるか
売れ筋では、フィルム包装のソフトパックティシュの伸びが顕著。ソフトパックは、場所を取らない、持ち運びが便利などの利点もあるが、特に「価格が安い」という点で支持を獲得。2021年の市場規模は前年比14%増、今では市場構成比の20%を占めるに至っている。円安の状況下で以前より減っているとはいえ、低価格の輸入品の構成比は低くない一方で、プレミアムブランドのソフトパック品や、国内メーカーの参入で市場は更に活性化している。
その他、新価値として注目されてきた長尺のトイレットペーパーはスタンダードな存在に。更に、SDGsの需要増を背景に、パッケージなどフィルムの部分を紙に切り替えたトイレットロールやティシュが脚光を浴びつつある。今年も、ソフトパックと環境対応の訴求品は、増えることが予測される。
(詳細は「日用品化粧品新聞」1月1日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)