【復調・拡大・発展2023 次の一手を見る/メイク】口元アイテムの需要回復

目回りだけでなく顔全体のメイク楽しむ傾向高まる
コロナ禍以降、厳しい状況が続くメイクアップ市場。そのような中で化粧品各社はアイメイクを中心に、マスク着用に対応した提案を強めてきた。昨年は外出機運が高まりマスクを外す機会も増え、生活者のリップメイク意欲も向上。顔全体へのメイクに更に注目が集まりつつある。
現在のメイクアップ市場を象徴するアイテムと言えば、花王の「ケイト リップモンスター」が挙げられる。「@cosmeベストコスメアワード2022」の総合大賞を受賞した他、いくつものベストコスメで上位に選ばれた。21年5月の発売から、マスクに付きにくく色落ちもしにくい点や使用感の良さで支持され、あまりの人気ぶりに入手困難となったことも注目されたが、ミニサイズや限定色の発売、重ね塗りの提案など集めたくなる仕掛けが豊富だったことも印象的だ。「欲望の塊」などSNSで発信したくなる色名も“バズり”につながった。
SNSで発信したくなる仕掛けも鍵に
アイメイクでは、中国のインフルエンサーから流行した「純欲メイク」などに象徴される、繊細なラメと上向きで束感のあるまつ毛を叶えるアイテムが人気となった。「LIPSベストコスメ2022」で総合大賞1位となった花王の「ルナソル アイカラーレーション」は“塗る宝石”と話題に。韓国ブランドの「ロムアンド ハンオールフィックスマスカラ」は、セパレートされた上向きカールが長時間持続するという点で支持を集めた。また、耐久性のあるマスカラを優しくしっかり落としたいというニーズから、伊勢半の「ヒロインメイク スピーディーマスカラリムーバー」も定番品ながら再注目されている。
近年ユーザーが増えているメンズメイクも提案の幅が広がる。マンダムの「ギャツビーザデザイナー」は、メイクアップ、スキンケア、スタイリングの3シリーズに、昨年「オールインワンネイルシリーズ」を投入。固定観念にとらわれず、理想のなりたい姿へ自分を自由にデザインすることを提案する。メンズは、他にも多くのブランドからメイク品が続々投入されており、今後も活性化が見込まれる。
昭和レトロの人気が市場にも反映か
今年のトレンドとしてアイスタイルは「シティポップメイク」を予測する。若い世代中心に平成・昭和レトロカルチャーが人気を集めており、70年代後半〜80年代に流行した都会的で洗練された音楽「シティポップ」が注目されているという。その世界観からヒントを得て、目元に淡いブルーやパープルなどのカラーを取り入れることが特徴で、男女共に楽しめるメイクとして紹介している。
不安定な社会情勢が続き、ヒットの予測は難しい。しかし、メイクに思いを巡らせる時の明るい表情こそ、今必要とされているものかもしれない。
(詳細は「日用品化粧品新聞」1月1日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)