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【消臭芳香剤市場】細かな差別化で新需要開拓、コロナ特需の反動で前年比減も期待される活性化

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【消臭芳香剤市場】細かな差別化で新需要開拓、コロナ特需の反動で前年比減も期待される活性化

 “消臭ニーズ”“リフレッシュや気分転換ニーズ”などに高まり

 コロナ禍以前からの安定した成長に加え、在宅時間の増加などによる快適な空間へのニーズ増から、近年注目度が高まる消臭芳香剤市場。昨年の市場規模は、前年をやや下回るものとなったが、2017年度比では約5%増と拡大傾向は続いている。今春の各社の新商品や提案を見ると、生活者を取り巻く環境の変化や、香りの嗜好に対する多様化に合わせた様々な戦略がうかがえる。

 2022年4〜9月の市場は、コロナ禍の特需の反動などにより約3・6%減と苦戦した。中でも室内用が最も影響が大きく約8・1%減で、剤型別ではスティックタイプが約7・3%減、液体タイプが約8・0%減となった。トイレ用は1・4%減で、スプレータイプが約2・0%減、置き形タイプが約1・2%減だった。一方で車用は約3・6%増と回復基調にあり、外出機会の増加の影響が見受けられた。
 生活者を取り巻く環境の変化としては、在宅時間の増加によって自宅のにおいが気になるようになったという“消臭ニーズ”に加えて、テレワークの定着による“リフレッシュや気分転換ニーズ”、友人・知人の往来機会増加による“エチケットニーズ”が高まっていることも注目される。また、より自分好みの香りや本格的な香りを楽しみたいという層が増加する一方で、居住空間は香水のような濃厚な香りではなく、家族で楽しめる軽やかな香りを好む層も増えるなど、多様化が進む。更に今後、様々な物価の高騰などによる生活防衛意識の高まりによって、コストパフォーマンスを重視する層が増えることも予測される。
 
 大手メーカーがそれぞれニーズを深耕

 「消臭力Premium Aroma」などの高付加価値品が好調なエステーは、高価格帯と低・中価格帯のボリュームゾーンとの二極化が進むと考え、今春はそれぞれのニーズに対応したラインアップを強化する。高付加価値品としては、好評だった昨年の期間限定品「消臭力Premium Aroma」の「エターナルギフト」の香りを定番化した他、新たなターゲット層への新商品も用意。また、ボリュームゾーンでは、室内用やトイレ用で消臭を重視したアイテムを拡充する。
 小林製薬は今春、大容量リキッドタイプ初の詰め替え可能な芳香・消臭剤「消臭元SAVON」を発売する。室内のあらゆる場所で使用できる新処方で、空間を整えるほのかな香りが“家族みんなが心地良く過ごせる空間”を演出。更に、詰め替え用は環境への配慮だけでなく、詰め替えやすさへの工夫も施している。
 また、、玄関用やトイレ用洗浄剤でも、新たな動きが見られる。
 玄関用では21年3月の発売以降、市場構築に貢献してきたP&Gジャパンは昨年9月「ファブリーズW消臭玄関用消臭剤」に抗菌効果を持たせた「ファブリーズW消臭玄関用消臭剤+抗菌」を発売。トイレ用でも同じく抗菌効果を持った置き型の消臭芳香剤が市場シェアを高めていることから、玄関用でも潜在需要の顕在化を狙う。
 トイレ用洗浄剤では、アース製薬の昨秋の新商品「デオッシュDEOSH」のタンクに置くタイプに注目が集まる。洗浄剤の分野にはなるが、便臭の嫌なにおいを香りでごまかさずに良い香りに変化させる技術を用いたもの。タンクレストイレが増える中、需要の開拓次第でまだ伸びしろがあると見込んでいる。
 生活者一人ひとりが、自分にとっての心地良さを求めるようになったことで新たな香りの提案はもちろんのこと「個と家族それぞれの価値観を取り入れながら心地良い暮らしを実現する」(大手メーカー担当者)というように、楽しみ方そのものへの提案や工夫なども必要となっていくだろう。各社からなされるどの提案が生活者の心をつかむのか、市場に熱い視線が注がれる。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」1月30日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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