「@cosmeアットコスメデータから見る人気の秘密—ヒットコスメの裏側」【寄稿】

ケイト/リップモンスター
(アイスタイルリサーチプランナー 西原羽衣子)
バズの役割は合理性とリスク回避
今年も生活者に支持されたコスメを総括する「@cosmeベストコスメアワード2022」が発表され『ケイト リップモンスター』が総合大賞に輝いた。マスク生活により、メイクアップへの関心が下落しているにもかかわらず、昨年5月の発売から約1.5年のあいだバズり続けての受賞となった。
発売当初の昨年度に投稿されたクチコミと比べ、今年度特徴的だったのは「かれこれ半年以上、近所のドラッグストアを毎回パトロールしていてやっと買えました」という入手の困難さを表すもの。そして「人気で完売が続いている理由が分かりました」といったイノベーターに追随し、価値に共感する声だ。
購入理由に効率性や安心感
@cosmeメンバーへの意識調査では、バズっている化粧品を購入したいと思う理由には、「流行やトレンドにのりたいから」よりも、効率性や安心感のほうが高く挙げられた。そんな彼らだからこそ、欠品続きのなか苦労してやっと手に入れたものの価値を「否定したくない」という心理も働きやすかったかもしれない。
コロナ禍というだけでなく経済的にも治安的にも不安にさらされた今年度。『ケイト リップモンスター』の受賞は、生活者が安心してバズに共感できる環境こそが必要とされた1年だったことをあらわしているかのようだ。
(詳細は「日用品化粧品新聞」1月1日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)