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【家庭紙特集】ティシュ・トイレットペーパーに新たな波、「ソフトパック」の勢い増加

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【家庭紙特集】ティシュ・トイレットペーパーに新たな波、「ソフトパック」の勢い増加

 業界総資産の向上に向け、各社が自社の強みを生かす


 ティシュやトイレットペーパーなどの家庭紙市場に、近年無かった変化が見られている。世帯浸透率はほぼ100%に近いだけに、新たなユーザー獲得による拡大は難しいとされてきたカテゴリーだが、価格帯やニーズ、使用シーンなどの変化に伴う新たな動きが出てきており、これを機に業界総資産の向上に向け、各社が自社の強みを生かした展開を進めている。

 家庭紙業界と言えば、昨年の春と秋、更に今年初頭に実施した価格修正が業界内外で話題を集めた。これまでの価格修正はなかなか根付かないケースが多かった家庭紙市場だが、食品を始め、あらゆるものの値上げが進む中、今回は、持続可能な状況を維持するには、目標価格を取り切るしかないという強い考えのもとに推進。結果、特売などのケースも減り、価格はこれまでにない上昇幅を着実に示していった。
 東京紙商家庭紙同業会調べの今年8月と昨年4月の店頭価格幅(税込)を比較すると、今年8月のトイレットペーパー再生紙物(55~60m12ロール)が327~360円(昨年4月=250~327円)、パルプ物(50~55m12ロール)が393~415円(同349~415円)。ティシュ(150~160組5個パック)が327~349円(同217~305円)、ソフトパックティシュ(同)が217~261円(同206~250円)と大幅なアップが見て取れる。
 来年は、2024年問題もあり、更なる値上げの必要性に迫られる可能性も高い。一方で、消費者は生活防衛意識の高まりで節約志向を強めており、ティシュでいえば、低価格帯に位置するソフトパックティシュに流れる傾向が徐々に見られている。今後もこの流れが続くと、市場単価全体が引っ張られてしまう、という懸念が業界関係者の間にはあるようだ。

 店頭価格が確実に上昇、流通課題の解消へ

 どこまで進むかソフトパックの付加価値化
 商品面での変化では、やはりティシュのソフトパックの波がその筆頭だろう。ソフトパックと言えば、価格訴求の輸入物のイメージが一般的で、実際輸入商材は増加傾向にある。22年度の汎用品ソフトパックの販売金額は、前年度比で24%増、金額構成比ではティシュ市場全体の18%で、今年度には2割に達する見込み。
 新たな展開ではこの秋、大王製紙がファーストブランドの「エリエールティシュー」でソフトパックを発売した。価格以外にも「置き場所を取らない」「使用シーンを選ばない」「持ち運びに便利」といった利便性に価値を見いだす消費者が多いからこその市場拡大、という考えを生かし、発売に踏み切ったもので、発売以降、既存の「エリエールティシュー」のボックスの数量も落ちることなく、ソフトパックの売り上げがプラスされているという。同社では「いつもの置き場にはボックスを、それ以外の部屋や外出先、車の中ではソフトパック、といった具合に使い分けされているのではないか」と分析。商品認知が進み、リピーターが出てくる今後の動きが注目されるところだ。
 トイレットペーパーでは、倍巻きの構成比が引き続き高まりを見せる。22年度の販売金額は前年比で21%増と勢いが増加。金額市場構成比は37%で、今年度には4割に達すると見られている。
 トイレットペーパーでは、この倍巻きが、サプライチェーンにおいて物流の効率化、環境への負荷低減などの面で支持を獲得。ソフトパックもコンパクトサイズであることから、そういった効果へ期待も寄せられる。今秋は、先陣を切ってトイレットペーパーの倍巻き化に踏み切った日本製紙クレシアが、セカンドブランドティシュの160組5個パックを、250組3個、5個の展開に全面的にシフト。ソフトパックのフィルム素材に対し、あえてリサイクル可能な紙製のボックスにこだわることで、紙メーカーならではの物流効率のアップと環境負荷低減を進めている。
 
 (詳細は「日用品化粧品新聞」9月25日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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