【注目ブランド戦略・フマキラー】園芸関連用品の充実を強みに幅広い世代の取り込み図る

時短、効率化につながり初心者にも使いやすいアイテム
確かな効き目と使いやすさを備えた製品づくりを通じて、花や緑と暮らす喜びを届けてきたフマキラーの園芸ブランド「カダン」。花卉種苗を取り扱うFSブルームのグループ化もあり、園芸を楽しむ人に向けたトータルブランドとして、ますます存在感がアップしている。ここではマーケティング部の佐藤太一課長に、市場活性化に向けた各種施策や新製品の概要などを聞いた。
——まずは、来シーズンの新製品の概要を教えてください。
「『カダンパワーガード粒剤』の特長は、土にまいたり混ぜたりするだけで、殺虫と施肥が一度にできることです。また、殺虫効果は1・5カ月間持続します。園芸市場活性化のためには新規ユーザーを獲得することが欠かせませんが、簡単な使用方法で1品2役を果たして時短、効率化につながるため、初心者にも使いやすいアイテムとして大きく期待を寄せています」
——製品の分かりやすさということにも配慮したそうですね。
「パッケージは光沢感をもたせ、視認性の高いものにしています。売り場で他社競合品と差別化を図ることができ、またプレミアム感を出す色づかいにしたこともポイントです。上部には『土にまくだけ!混ぜるだけ!』など、特徴を明確に伝えるキーワードも記載しました。また、殺虫殺菌剤『カダンセーフ』『カダンプラスDX』の『電池式らくらくスプレーセット』は病気発生予防効果の適用を拡大し、リニューアル発売します。特に、スイッチを押すだけで薬剤を簡単に散布できる『電池式らくらくスプレーセット』は今年4月に発売し、まだ認知度が低いため、期初から販売体制を整えてリスタートし、トライアルを促進する企画を準備中です」
——2種の殺鼠剤、忌避剤、捕獲シートをそろえたネズミ用対策シリーズ「ドラ」も注目を集めています。
「殺鼠剤と捕獲シートに用いた『ドラデスパワー』という名称は、商標登録の段階からSNSなどで話題になりました。4アイテムをラインアップし、ネズミで困っている人へトータルで提案することができます。パッケージではイラストを用いて効果を分かりやすく伝える工夫もしました」
ガーデニングを楽しむ人へ向けたサイトを展開
——各製品の特徴を伝える動画も用意されていますが、効能や効果感が明確に伝わってきました。
「『ドラネズミバリア強力忌避剤』は、本能を刺激する恐怖成分を配合した一品で、ネズミがすくみ、後ずさりする動画は社内でも好評でした。店頭ツールとしても大いに活用していきます。また『ドラデスパワーまとめて一掃』は、自由自在に折れ曲がる特殊形状の袋がいかに巣に持ち帰りやすく、群れごとの駆除につながるか、説得力を持たせることができたと思います」
——コロナ禍が追い風になったと言われる園芸市場ですが、更なる成長のため、どんなことを進めていますか。
「園芸は5年以内で離脱してしまう割合が高いため、いかに成功体験につなげていくかが成長の鍵になるでしょう。園芸ビギナーはSNSから情報を得ている人が多く、ユーチューブやインスタグラムの公式アカウントでの積極的な発信を心掛けています。また、ガーデニングを楽しむ人へ向けたサイト『カダンLIFE』を立ち上げ、花、野菜の育て方やブランドの紹介を行っています。今後も商品情報の押し売りにならない形で、有益なノウハウを伝えていきます」
——新たなアプローチにも手応えを感じているとか。
「園芸用薬品の使用率はまだ3割ほどで、肥料に比べて約半分。まだまだ大きな可能性があります。なぜ園芸用薬品が必要なのかという理解を進めることができれば、花と一緒に購入することにつながるはずで、SNSなどで啓発を進めていきたいと考えています。『カダン』は花、苗から薬品、資材まで一気通貫で園芸関連品を取りそろえている点が、他社、他ブランドが真似ることのできない強みです。実際に、花苗と『カダンセーフ』などハンドスプレー品を組み合わせて展開したところ、実績が大きく伸長するなど、売り場を変えることで成功事例も生まれました」
「コロナ禍をきっかけに園芸人口が高止まりしている中、販路も広がっています。メインユーザーである60代以上だけでなく、30〜40代の子育て世代など幅広い世代も取り込み、出ていかせない商品づくり、プロモーションも重要ですね。来シーズンは親子で園芸をするきっかけにしてもらうためのキャンペーンも予定しており、子供も楽しめる売り場を演出するなど、より活性化につながるべく、既存の市場に風穴を開けるプロモーションにも取り組んでいきます」
(詳細は「日用品化粧品新聞」11月28日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)