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【スペシャルインタビュー/AppBrew・深澤雄太 代表】成長の鍵は“ユーザーファースト”の追求

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【スペシャルインタビュー/AppBrew・深澤雄太 代表】成長の鍵は“ユーザーファースト”の追求

 「パーソナルカラー診断機能」が1000万ダウンロードを達成

国内最大級の美容プラットフォーム「LIPS」を運営するAppBrew。「なりたい自分を、もっと自由に」というサービスコンセプトの下、2017年に商品の検索やクチコミ投稿から始まったアプリは、徹底した“ユーザーファースト”の姿勢で次々に新機能を実装し、現在は商品の発見から購入、レビューの投稿までシームレスな体験を提供している。また、美容に関する熱量の高いユーザーが集まるという最大の特徴を生かしたマーケティング施策は、ブランド担当者からの注目度も高い。今年1月にはローンチから約6年で1000万ダウンロードを達成。異例のスピードで成長を続ける陰には、それを支える実直な企業姿勢があるようだ。深澤雄太代表に現況や今後の展望を聞いた。

 ——年始から5回にわたって当紙に寄稿いただいたコラム「LIPSの軌跡」でもご紹介がありましたが、ローンチからわずか3カ月で30万ダウンロード、1年半で100万、2年で300万と順調にユーザーを拡大されてきました。昨秋時点では900万ダウンロードとお聞きしていたので、想定よりずいぶん早く成長しているのでは。
 「昨年11月にリリースした『パーソナルカラー診断機能』が非常に好評で、SNSなどでバズったことも要因となり、1月29日に1000万ダウンロードを達成しました。App Storeランキングでは、ライフスタイルカテゴリで1位となっただけでなく、総合で5位を獲得した日もあったほど急速な伸びでしたね。ユーザーが質問に答えて診断するテキストベースではなく、AR技術を使用することで、スマートフォンの画面上で自身に似合う色のリップを選んでいくという、視覚的・直感的に分かりやすくリアルな診断体験を提供しました。オンラインで化粧品を購入する時代となり、色選びに悩むことも増えています。ブランドサイトや商品レビューなどで、アイテムごとに似合うパーソナルカラーも紹介されていますが、自己診断では確信が持てませんし、プロ診断は予約が取りにくい。そんなユーザーニーズと合致したことで、多くの方にサービスを試していただけたのではないでしょうか。今後はメーカーの公式通販で活用できるようなサービスも検討しています」

 ——今求められているサービスをタイムリーに提供したのですね。これまでもユーザーの声やニーズに素早く対応して、様々なサービスを実装されてきた印象です。一昨年にリリースしたショッピング機能も、発案から2カ月で実現されたそうですが、その秘訣はどこにあるのでしょう。
 「『LIPSショッピング』については、かなり前から構想はありましたが、化粧品販売は簡単なことでは無く、ハードルの高さを感じていました。しかし、コロナ禍で伸びていたオンラインの流通データを捉えるためにも、優先度を上げて取り組むことが必要だと決断しました。開発部門と営業部門がそれぞれに奮闘したことで、短期間で実装できたサービスです。テクノロジーと美容に関する知見を持ち合わせていることが当社の強み。美容業界にテクノロジーを理解している会社がいるという意味は大きいと思います。EC機能によって、商品購入にまつわるユーザーデータが得られるようになったこともそうですが、我々のようにしっかりと美容業界に投資していなければ持つことができないデータがありますし、新しいサービスを実装するには商品に関する知識も必要となります。エンジニアフレンドリーな社風やメーカー出身者など美容感度が高いメンバーがそろっていることも、新規性のあるサービスを発案したり、各種データによって統計的にニーズを察知したりできるという点で、システム設計から運用までを短期間で実現できる秘訣かもしれません」

 性別や年代を問わず幅広いユーザーに利用されるサービスへと成長

 ——業界内でも非常にユニークな存在ということが分かります。企業として、LIPSとして、大切にされていることは何ですか。
 「AppBrewのバリューの一つでもありますが『ユーザーファースト』に尽きると思います。アプリの使用者だけではなく、ブランド関係者などtoBの事業関係者も含めて、LIPSというサービスを利用する全ユーザーのためになることを大切にしています。短期的な利益を追求するのではなく、企業倫理をしっかり持った上で、ユーザーやブランドの課題解決を考えること。情報の透明性も求められますし、実際の数値やユーザーへのヒアリングに基づいたロジックでトライアンドエラーを積み重ねる。スタートアップ企業にとっては標準的なことかもしれませんが、それが長期的な成果につながると思います」

 ——ユーザーに対して誠実に向き合っていらっしゃるのですね。企業向けには、ブランドの情報発信ページ「LIPS for BRANDS」や、ユーザーのクチコミを醸成する「LIPSサンプリング」を提供していますが、新規の施策はお考えですか。

 「多くの企業様に情報発信やサンプリングの場としてLIPSをご活用いただいていますが、もっと包括的なマーケティング支援を提供したいと考えています。具体的には、LIPSで醸成した熱量の高い良質なUGCを活用して、ツイッターやインスタグラムなど他のSNSにおける広告運用を、全て当社で行うサービスです。SNSマーケティングについては、それを得意とする企業にアウトソースされているブランドもあると思いますが、美容業界への深い知識を持つ我々が運用することで、薬事やステマチェックもできますし、サービスの解像度がより高くなると考えています。UGCをより広範囲に拡散できるノウハウを生かし、広告制作や運用、データ分析、次のアプローチ立案までカバーし、クライアントと同じ船に乗って取り組むようなマーケティング支援を提供します。また、昨年イオン様で『LIPSベストコスメ2022』と連動した店頭販促を展開したように、リアル店舗との連携も積極的に取り組んでいきたいですし、メーカー公式ECに送客するようなオンライン販促も検討中です」

 ——貴社のリソースを最大限に生かした施策になりそうです。今後目指す方向性について聞かせてください
 「LIPSは性別や年代を問わず幅広いユーザーに利用されるサービスへと成長しています。昨年のロゴリデザインも、特定の年代や性別に向けたサービスというイメージを払拭し、一人ひとりの『幸せ』や『なりたい姿』を自由に追求できるプラットフォームになることを目指して実施したものです。各事業で取り組んでいきたい課題もあります。メディアとしては、メンズコスメ関連などまだフォローしきれていないジャンルにまでコンテンツを広げて、ユーザーの利用時間を増やすこと。ECとしては、美容知識を生かしてブランドを横断したセット品をキュレーションするなど、独自路線の提案で取り扱い額の拡大を図ること。マーケティング支援としては、広告の質や運用の精緻さには自信がありますので、それをしっかりと示してクライアントの信頼を向上させること。今後もそれぞれのサービスの拡充を行い、美容に関する良いコミュニケーションを生み出すお手伝いができればと考えています」

 (詳細は「日用品化粧品新聞」3月13日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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