【アイスタイル】スキンケア市場特別インタビュー
勢い目立つマスクやパック、使用シーン増加で好調生活者が支持する商品を表彰する「@cosmeベストコスメアワード」の発表会で次シーズンのトレンド予測を実施したり、@cosmeに投稿されたクチコミから今後のトレンドの兆しを発掘するニュースレター「トレンドの芽」を配信したりと、多彩な分析力で業界からの注目を集めているアイスタイル。ここではリサーチプランナーの西原羽衣子氏、原田彩子氏に、スキンケア市場の近況を聞いた。
――スキンケア市場ではどのような傾向が見られますか。
西原氏「引き続き成分が注目されており、ブースターや美容液が伸びています。特にビタミンC美容液は相変わらず商品が増えていますね。効果実感度があり話題の『痛いコスメ』ではシートマスクやリッププランパーなどが続々と登場しており、熱が冷めないうちに次のアイテムが出てくるので話題が途切れないという印象です」
原田氏「クチコミでは『酒さ』『稗粒腫』といった症状を表す専門的なワードが少しずつ増え、美容医療の機会が増加していることを感じます。皮膚科で診断され、自分の悩みと結びつき、それを解消したいという流れがあるようです。SNSやクチコミを通じ、ワードが広がりやすくもなっているのでしょう」
――今後、ブランドにはどのようなことが求められるでしょう。
原田氏「大手メーカーを始め各社の研究開発力は非常に高いので、ユーザーと更にコミュニケーションを取るために、マニアックな発信について翻訳をできる人を見つけるのがますます重要になるのではないでしょうか。ユーザーは、例えばクチコミでは使用感を、インフルエンサーからは効果実感度を、メーカーからは研究開発の話をなどと、誰からどのような情報を得るのかということをそれぞれ使い分けているようです。景気が良くないことも影響し、情報収集をきちんと行って限られたお金の中でやり繰りしている印象です」
――ユーザーの支持を得るためには様々な工夫が必要になりそうですね。
原田氏「本当の意味でのコスパを重視する傾向が強まると思いますので、高単価アイテムは、その価値があることを感じてもらえるかが重要で、それを感じられないと単価が安いものに変えられてしまいます。また、クチコミでは『企業努力』が増加していますが、自分たちに寄り添ってくれる、向き合ってくれるということを評価する声が増えています。この春もいろいろと値上げがありましたが、原料高騰で致し方ないこととしても、それがどう受け止められるかは、ユーザーとのコミュニケーションにかかっていると見ています」
西原氏「これまでは外資系の値上げが多かったのですが、国内メーカーでも見られるようになってきました。値上げが進むと、なおさら情報収集の意識は強くなるでしょうね」
――カテゴリー別で見ていくと、特にシートマスクが好調だと聞きます。
原田氏「『ルルルン』が提案し、牽引しているのですが、毎日使う、朝に使うといった人が増えたこともあり、この1年で大きく伸びています。アットコスメが年末に行っている『ベストコスメアワード』に関連した調査では、シートマスク・パックをデイリーケアで使っている人は4割に上り、一般的な使用方法になってきていることがうかがえます。コロナ禍では、肌荒れを鎮静したいということからCICAマスクなどが注目を集め、エントリー層拡大に大きく寄与しました。『化粧水代わり』というクチコミが増加しているように、若い人は化粧水を使わずシートマスクを使う人が増えているようで、役割の変化、用途の広がりも感じます。MEGUMIさんなど、アイコンの“オトナ女子”の発信が若年層にも響いていることも特徴の一つですね。プレゼント需要も高く、あげやすい、渡しやすいといったこともあり、韓国に旅行に行った際のお土産なども増えている流れにあります」
西原氏「夜に使うものだったのが、朝の美容習慣としてメイクの前に使うという新しい需要も生まれました。肌の温度を下げるとメイクのりが良くなるという提案がされ、商品が欠品するほどの人気を集めています。成分を訴求したり、美容医療を想起させたりといった商品も多いのですが、これら関心が高まっているものとの相性の良さもあり、安価で気軽に新しい成分などを試せる機会にもなっています」
(詳細は「日用品化粧品新聞」5月20日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)