日用品・化粧品・生活用品業界の専門紙

HOME(2022) > 業界ニュース > インタビュー > 【新社長に聞く経営の羅針盤/ベアエッセンシャル ・菅野沙織社長】クリーンビューティーのトップへ

業界ニュース

【新社長に聞く経営の羅針盤/ベアエッセンシャル ・菅野沙織社長】クリーンビューティーのトップへ

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【新社長に聞く経営の羅針盤/ベアエッセンシャル ・菅野沙織社長】クリーンビューティーのトップへ

 ベアミネラルの理念と共に〝ヘルシーさ〟〝力強さ〟を伝える

 「眠れる獅子を起こす」。ベアエッセンシャル社長就任の意気込みをそう語る菅野沙織社長。美容業界で30年以上のキャリアを重ね、今年2月にレブロンで10年間務めた社長職を辞した際には、第一線から離れるつもりだったという。ところが、8月に現職に就任するやいなや「3年以内にクリーンビューティーのトップブランドとなるため、全力を尽くす」と精力的に活動を開始。大きなマインドチェンジにはどのような背景があったのか。現在同社が抱える課題や今後の展望、直近の取り組みなどと合わせて話を聞いた。
 
 ——今回の社長就任はご自身でも思いがけないタイミングだったとお聞きしました。
 「これまでメイクアップ、スキンケア、フレグランス、エステティックサロンなど全ての美容領域を経験してきました。その中でプレステージ、マスマーケット、EC、オムニチャネルなど様々なことに取り組み、やり切ったという思いがあったので、しばらくはプライベートの時間を楽しむつもりでした。そんな矢先のオファーでしたから、まさに青天の霹靂です。ただ、少し前からクリーンビューティーを重要なカテゴリーとして捉え、海外の文献なども参考にしながら知識を深めていたので、関心が高まっていたタイミングでもありました。コロナ禍を経て、人々のニーズは健やかさや心地良さ、地球への優しさなど、より“安心”へと加速しました。『ベアミネラル』の理念やプロダクトはそれに応えられるものです。他のメーカーだったらお引き受けしていなかったと思います」
 ——今だからこそ実現したご縁だったのですね。ブランドの強みや課題についてはどうお考えですか。
 「『ベアミネラル』は、まだ世の中にサステナブルという考えも無い27年前から、肌に負担となる成分を使わずに製造や処方に透明性を持ち、地球環境への配慮にまで取り組み、一時代を築いた素晴らしいブランドです。長年愛してくださるファンもたくさんいらっしゃいます。しかし、残念ながら現在は認知度が落ちていると言えるでしょう。オファーをいただいてから店舗を視察しましたが、見せ方を含め問題があり『良いブランドなのにもったいない』と強く感じました。かつて勢いがあったブランドを盛り上げ、眠れる獅子を起こすように復活させる。私の心にも再び火が付いた状態です。現在は『クリーンビューティ—』というカテゴリーに様々な企業やブランドが登場し、その言葉が一人歩きしている状況とも言えます。肌に優しい化粧品であるという以上に『ひとりひとりの美しさと幸せから、GOODな連鎖反応を世界中へ。“THE POWER OF GOOD”』という『ベアミネラル』の理念を伝えると共に、ワクワクする楽しさや美しくなる喜びなど、ユーザーが化粧品に求めていることに応えていかなければなりません」
 ——具体的にはどのような経営方針で取り組まれますか。
 「大切なのは人と施策です。まず、スタッフがブランドに自信を持つこと。その上で新しいことに挑戦する。『クリーンビューティー』に優しいイメージを抱く人もいるかもしれませんが、そこにヘルシーさや溌溂としたアクティブさ、力強さがあってもいいはずです。改革に取り組む時には楽しみながらスピーディーに行うことが私のモットー。様々なアプローチを実施して、短期間で勢いのあるブランドへの転身を目指します。来期2023年度の目標として、今期の1・4倍の売り上げ目標を本社に提示しました。本社が与える目標以上の数字を提示したのは、世界各国の拠点で日本だけだと言われましたが、決して無理な内容ではありません。代表に就任してまだ2カ月程ですが、既にいくつものプロジェクトが走っており、予定を上回るスピードで進捗しています。3年以内にクリーンビューティーのトップブランドに戻ることが直近の目標です」

 スタッフと一緒に挑戦し、勝利や成功の楽しさや喜びを分かち合う

 ——ご就任間もないですが、とても積極的に社内外への発信を強化している印象です。
 「先程も申し上げたアクティブなイメージから、ヨガやピラティスを楽しむ層とも親和性が高いという考えがあったので、コラボイベントなどを企画しました。9月に開催された『ピラティスフェスタ2022』では商品のサンプリングを実施し、大きな反響を得たことから相性の良さを確信できましたね。その他にも様々なターゲットにイベントを仕掛けていて、ジェンダーフリーに楽しめるという訴求で男性向けビューティーセミナーや、小さなお子様も安心して使えるという観点で、ハロウィンキッズメイクセミナーも予定しています。社内では、個々人の動きをしっかり見るようにしていて、昨日より少しでも良くなった部分は必ず褒めます。社長の仕事はゼネラルマネージャー的な役割も果たすもの。スタッフと一緒に挑戦し、勝利や成功の楽しさや喜びを分かち合うことで、セールスチームも活気づいてきました」 
 ——チームビルディングの経験も豊富なので、組織が活性化する働きかけも成功しているのですね。学生向けのキャリアアップセミナーも実施されたとか。
 「以前から大学や企業向けの講演依頼をいただくこともありました。今回はサステナビリティを意識したサークルの大学生に、キャリアや人生観に関するお話と、気持ちが前向きになれる“ハッピーメイク”のレッスンを行いました。『ベアミネラル』のターゲットになりうる層だというのはもちろんですが、しっかりと将来を考えたいという志向を持った方々です。どんな有名人もお金持ちも、就職、結婚、子育て、介護などライフステージごとに悩みはあって、誰にとっても人生は楽ではありません。例えば就職では、何か好きなことがあるなら会社を活用して夢を実現すれば良いとお伝えしました。10個挑戦して一つでも実現できたら、それが次の夢につながります。また『結婚か就職か』などAかBか選ばずに、両方やってしまおうというお話もしました。人生は自分の手で漕ぐ船のようなもの。漕ぎ続ければ必ず前に進むので大丈夫というメッセージを送りました。参加者の表情が明るくなっていくのが分かって『講演を通じて前向きになれた』という感想もいただきうれしかったですね」
 ——ブランド以外の切り口でのコミュニケーションは、新たなファンにもつながりそうです。日本輸入化粧品協会の理事長も務めていらっしゃいますが、注目しているスキンケアの動向はありますか。
 「韓国コスメの動きには注目しています。少し前までは『カタツムリ』など、ユニークな成分を配合した商品が多い印象でしたが、最近は『CICA』など肌に優しいラインアップも増えてきました。マスク生活で肌荒れや毛穴悩みが増え、スクラブの需要なども増えていますね。消費者の価値観も変わりつつあって、これまで百貨店でコスメを購入していた人が、セルフブランドに移行する動きもあります。手に取りやすい価格帯の商品にも、良い成分や高い効果感のものがあることに気付いたのでしょう。よりシビアな基準で化粧品を選ぶ傾向が高まっています。『ベアミネラル』では、沖縄のパワーベジタブル『長命草』の恵みで、みずみずしいハリと明るさにあふれた肌に導く『スキンロンジェヴィティ シリーズ』や、レチノールにインスパイアされ、その弱点を克服した天然植物由来保湿成分であり、コシロノセンダングサエキスとスクワラン(サトウキビ由来)の複合成分『フィトレチノ』を配合し、エイジングサインに多角的にアプローチする『AGL フィトレチノ シリーズ』なども注目されています。肌を元気にする、本来の力を引き出してくれる成分が求められていて、この傾向はしばらく続くのではないでしょうか」

 (詳細は「日用品化粧品新聞」10月17日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

各種お申し込み・お問い合わせ

CONTACT