【メイク市場】口元アイテムへの支持集まる、色を楽しむアイテムにも注目
2022年は個数、金額プラスで回復傾向へ
コロナ禍が逆風となり、大きく落ち込んだメイク市場だが、マスク着用ルールの緩和などもあり、回復の兆しを見せている。最も厳しい状況にあったと言えるリップアイテムでもヒット品が登場するなどユーザーの関心の高まりもあり、今春は、メーカーからも積極的なメイク関連施策が進められている。
経済産業省の出荷統計によると、2022年の仕上げ用化粧品は個数が前年同期比7・7%増の3億6609万9860個、金額が10・3%増の2407億3445万2000円と、前年を上回った。20年は個数28・6%減、金額34・6%減、21年は個数14・4%減、金額11・2%減と大きなマイナスとなっていた市場がようやく下げ止まった格好だ。23年に入っても1~2月の累計で個数11・8%増、金額5・5%増と、コロナ禍前の規模には及ばないものの好調を維持している。
カテゴリー別では、主力のファンデーションの動きはやや低調ながら、口紅、リップクリームなど口元品の復権が目立つ。マスクに付かないといった機能性アイテムを各社が提案し、花王の「ケイトリップモンスター」、伊勢半の「キスリップアーマー」など、SNSでバズって注目が集まり、店頭で欠品してしまうほど大ヒットするアイテムも見られるようになってきた。
リップアイテムは更なる回復への期待も大きく、メーカー担当者は「コロナ禍ではマスクに付着しないことが求められ、マットな仕上がりのタイプが人気だったが、マスクの着脱機会がこれまで以上に増えることで、落ちにくさを重視しながらツヤのあるものが求められていくのでは」と分析する。
アイブロウは幅広い年齢層に向けた商品が増加
目元アイテムも引き続き人気
マスク着用機会の増加から関心の高まりを見せたアイメークアップ、まゆ墨・まつ毛化粧料なども依然として市場をリードしている。特にアイブロウは従来、若年層を中心に使用されるイメージだったものが、幅広い年齢層に向けた商品が増加。男性も含めたユーザー層の拡大につながっている。更に、メイクで顔やパーツのバランスを調整し、理想的なものに近づける“骨格補正メイク”が注目され、シェーディングやハイライトなどプラスワンアイテムへの引き合いも強まっている。
メーカー各社も積極的に発信
注目の高まりに合わせるように、メーカー各社も積極的な施策を見せる。コーセーでは、マスクを着けていても外していてもメイクを楽しめる、唇をより主役にしたツヤと発色のあるメイクを提案。生き生きとした、明るく健康的な印象を与えることを目指している。更には「エスプリーク」「ヴィセ」「ファシオ」というマス向けブランドを横断し、「唇を、裸にしない。」というテーマで特設サイトの立ち上げや店頭での発信などを進め、口元メイクの楽しさを伝えるキャンペーンを進めている。
ポーラも、マスクオフと共に再びフルメイクを楽しむムードとなると予測し「高発色&ツヤ」がリップのトレンドとする。ベースメイクでは、マスク着脱の頻度が増え「カバー」「化粧持ち」「お直し後の仕上がり」を叶えるというニーズが高まっていると指摘。また、マスクを外すことに気恥ずかしさや不安を感じ、フェイスラインのたるみが気になるというユーザーが増えているとし、シェーディングカラーを塗布してフェイスラインをシャープに見せ、更に、目の下を明るく見せるテクニックの情報も発信している。
これまでの反動もあって「チークやフェイスカラーなど、色で遊ぶアイテムにも人気が集まりそう」と指摘するメーカー担当者もおり、メイクを楽しむという流れにもなりそうな現状。多彩な提案、発信が、更なるユーザーの関心の高まりへとつながっていきそうだ。
(詳細は「日用品化粧品新聞」5月15日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)