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【オーラルケア市場】伸びを支える高付加価値商品の拡大、進む市場“再”活性化

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【オーラルケア市場】伸びを支える高付加価値商品の拡大、進む市場“再”活性化

 ハミガキはコロナ前との比較で700〜999円が6割近い増加

 依然として続く生活者の健康志向は、コロナ禍を経て一段と高まる気配を見せている。こうした流れを受けて、オーラルケア市場も一時的な伸び悩みから脱し、堅調な推移に戻りつつある。使用率が100%に近いハミガキやハブラシ、これからの成長が期待される洗口液、使用拡大を図りたい歯間ブラシ、フロスなど、いずれも積極的なマーケティング施策が続く。最近の現状を追った。

 市場を取り巻く環境を見ると、生活者の意識向上はもとより、政府が掲げる方針「21世紀における健康づくり」、すなわち「健康日本21」の中で歯・口腔が重要項目として挙げられている。更に、歯と口腔の健康増進のため「国民皆歯科健診」の導入も検討されるなど、まさに官民一体となってオーラルケアの重要性を啓発する動きが活発だ。歯周病と全身の健康の関係も明らかにされ、定期検診に通う生活者も増加し、同時に歯周病対策の重要性が広く伝わりつつある。
 大手メーカーの試算によると、オーラルケア市場はコロナ禍以前からトータルで3000億円を超え、更に拡大に向かうとされている。日用品分野の代表的なカテゴリーで、生活必需品でもあることから、人口減少による影響も懸念される中でも、堅実な成長を続けているのが特徴と言える。
 この伸びを支えるのが高付加価値商品の拡大だ。ハミガキを例に取れば、2022年はコロナ前の18年との比較で金額ベース13%増となり、その大部分を中~高価格帯の伸びが占める。単価が299円以下の低価格帯が1割ほど下落する反面、500~699円は14%増、700~999円は6割近い増加となった。1000円を超えるところでも6~7%増加しており、平均単価を押し上げているのが現状だ。
 人生100年時代と言われる中で、市場の伸びに貢献しているのは50代以上のシニア層。口腔内のトラブルや悩みが増える年代でもあり、高ランク品の購入が増えている。特にハミガキの購入単価は60代で440円、70代以降も446円と、その他の年代を50~150円ほど上回る。ここに絞って効果の高い商品を投入するメーカーも増え、品ぞろえも充実しつつある。
 こうした状況はハミガキに限らず、ハブラシ分野でも同様。ケア意識の高まりから高額品への需要が拡大していることに加え、最近では、どちらかといえば意識の低い若年層へ向けたアプローチも盛んに行われている。口腔トラブルが比較的少ない世代だけに、訴求の中心は将来のためのケアということにはなるが、どこまで受け入れられていくかで市場の動きも左右されそうだ。


 旅行の機会増加などでトラベルセットが好調な動きへ

 また、脱マスク、外出機会増加などコロナ禍を経て健康意識が定着したことに加え、対人によるコミュニケーションの重要性も再認識されてきた。これらを背景に、今年はトラベルセットが好調な動きを見せ、1~9月累計で前年比11%増というデータもある。コロナが5類に引き下げられて以降、旅行の機会が増加。更には昨年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法により、ビジネスホテルなどでハブラシを用意しないところが増え、宿泊客が持参するようになっていることも要因として挙げられる。
 歯間ブラシ、デンタルフロス、ワンタフトブラシなどの周辺アイテムも、規模はまだ小さいながら2桁増を続けて着実に浸透している。プラスオンの商材だけに平均単価の引き上げや拡大、他商品との差別化など課題も少なくはないものの、更なる意識向上への対応に欠かせない商品群として、今後への期待は膨らむ。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」10月30日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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