日用品・化粧品・生活用品業界の専門紙

HOME(2022) > 業界ニュース > 市場ウォッチ > 【ペットケア市場】飼育頭数減少でも安定成長へ

業界ニュース

【ペットケア市場】飼育頭数減少でも安定成長へ

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【ペットケア市場】飼育頭数減少でも安定成長へ
コンパニオンアニマル化で需要増、より良い商品高まる期待

 フード、用品を含むペットケア市場への期待が一段と高まっている。需要拡大のベースとなる飼育頭数の変化はあるものの、様々な切り口の高付加価値商品が支持を集めている様子。市場の動きを左右したコロナ禍による影響は落ち着きを見せており、更に今後、新たな提案を継続的に行うことで、安定的な成長が求められそうだ。

 飼育頭数減少も1品単価は上昇

 近年は、ペットの飼育実態に変化が見られる。ペット用品工業会の調べによると、2014年から23年までの10年間における犬の飼育頭数は871万頭から684万頭と2割以上の減少、世帯飼育率も12・9%から9・6%へと下降した。一方、猫の飼育頭数は841万頭から907万頭へと約8%増加したが、国内の総世帯数の伸び率に近いレベルであるため、世帯飼育率はほぼ横ばいの状況にある。

 また、新規の飼育頭数を見ると、外出自粛や在宅機会の増加が続いたコロナ禍の4年間ほどは、それまでの平均値を上回る水準となったものの、コロナの収束と共にこちらも減少する傾向にある。これからペットを飼いたいという意向も高まっているとは言いにくい状況だ。

 しかし「小売店やECでの取り扱いは、ますます拡大する傾向にあり、品数や売り場が増えたカテゴリーは市場も伸びている」と、メーカー担当者は分析する。その要因こそが、飼育頭数の減少というマイナス要素を補って余りある高付加価値化と、それに伴う1品単価の上昇と言える。商品にとどまらず、各種サービスも含めた1頭当たり飼育費も増加しており、メーカーの試算では22年時点で犬用が約1万4000円と17年比でおよそ5割増、猫用も1万3000円で約3割増と、いずれも市場拡大の原動力となっている。関係者は「ペットは愛玩動物ではなく、家族のように生涯を共に過ごす伴侶動物、すなわち『コンパニオンアニマル』として、まさしく人間化が進んでいることで、ペットに対して手とお金を掛けるようになった」と、現状を説明する。

 人もペットも健康に気配り

 ペットフードの分野では、ペットの健康、嗜好を考えた商材が続々と登場している。日々与える主食だけでなく「おやつ」と称する副食においても、その傾向が強まっている。ある調査では、通常のフードに比べ副食の伸びが高く、特に猫のウェットタイプフードでは健康に配慮した総合栄養食が前年比25%以上、猫用スナックも総合栄養食が65%以上の高い伸びを示している。全体としても、より味を追求したグルメタイプ、機能性を重視したプレミアムタイプの品ぞろえが強化され、売り場で活況を呈している。ペットをコンパニオンアニマルとして、家族の一員としてとらえ飼育する傾向が強まる中で、食事による健康配慮が進んでいるようだ。

 充実する商品と売り場展開

 ペット用品分野では数々のアイテムがそろい、小売店頭をにぎわせるようになってきた。トイレ、ペットシート・猫砂、ウェットシート、オーラルケア、ボディシャンプー、消臭剤、玩具など、多くのカテゴリーでアイデアあふれる新商品が登場する機会が増えている。葬儀や供養に関するアイテムも充実し、オーダーメイド商品を含めて拡大中で、医療機関向けの専門性の高い商材も目立ってきた。

 日用品業界においては、ボリュームの大きなカテゴリーではユニ・チャームのシェアが圧倒的に高く、売り場でも大きな存在感を示している。またエステーは、昨年末に花王から譲受したブランド・事業の展開を本格化、従来の消臭剤と共にペットケア事業を将来の柱として育成していく考え。その他のメーカーでも強みを生かした独自商品の拡販を進めている。流通も含めて、市場活性化へ向けた動きがますます加速しそうだ。


(詳細は「日用品化粧品新聞」7月8日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

各種お申し込み・お問い合わせ

CONTACT