機能面での訴求が活性化 化粧石鹸・洗顔料
好調の背景の一つに「マスク肌荒れ」の増加
これまでも様々な剤型や使用感の提案で店頭を彩ってきた洗顔料市場。コロナ禍を経たことで、マスク着用の長期化による肌荒れニーズやおこもり美容意識の高まりなどもあり、近年は機能面での訴求も活性化している。全体として低調な化粧品業界において明るさを感じさせる分野でもある。市場を巡る環境の変化や生活者の動き、注目の提案を探った。
経済産業省の化粧品全体の出荷統計を見ると、2021年の累計出荷個数は25億2403万9530個で前年同期比7・2%減、累計出荷金額は1兆3471億9442万2000円で同8・9%減と、メイクアップ品を中心に低迷が続いている。一方、スキンケア意識の高まりから好調な項目もあり、洗顔クリーム・フォームは個数が2億2748万8770個で2・9%減とマイナスだったが、金額は709億5455万8000円で1・8増と回復傾向にある。更に単月で見ると10月からは個数、金額共にプラスに転じており、12月は個数が13・5%増、金額が6・1%増だった。
好調の背景の一つには、コロナ禍で問題視されるようになった「マスク肌荒れ」の増加がある。日常的にマスクを着用する生活が原因でニキビなどの肌トラブルが増え、肌を清潔に保ちたいというニーズが高まり、対策ができる定番商品とも呼べるようなアイテムの売り上げが伸長した。SNSを中心に若い世代に注目され、新たなユーザーの拡大につながっているという。
また、外出自粛の機会に一層の美肌を目指す「おこもり美容」の動きも後押しにつながっている。高額な美容液への関心も高まっているが、肌の土台を整えるという意味で、確かな機能を備えた化粧石鹸・洗顔料を選ぶ大切さを意識する人が増え始めている。
提案に広がり見られる毛穴対策
今春の各メーカーからの提案で特徴的なのが毛穴に関するアプローチ。呼気による蒸れで、マスクを外した際にファンデーションがよれていたり、毛穴が開いていたりという悩みも増えたことで、洗顔によって素肌の質を底上げするような提案が広がっている。
長引く自粛生活の影響で、自分の肌と向き合うようになったのは女性だけではない。男性も肌悩みに合わせて洗顔料の使用率が上がっているのはもちろんのこと、オンライン会議で画面に映る自分の顔を整えたいというニーズでメンズメイクも広がりが見られる。アイブロウやBBクリームなど洗顔料で落とすものがメインとなるため、メンズコスメではブランド育成を進めてトータルで購買意欲及び点数をを向上するという戦略が見られる。