特別インタビュー ミツエイ安部徹社長に聞く今後の方向性

ニーズと信頼に応えるメーカーを目指して
今年3月、福島県・いわき本社工場の第2工場に新棟を増設し、トイレタリー・化粧品分野の生産増強を図ったミツエイ。もともと幅広い生産品目に対応するメーカーとして知られるが、新たな品目の取り扱いも視野に、業容拡大と事業の強化を目指し、その歩みを加速している。同所に安部徹社長を訪ね、直近の状況や今後の方向性、考え方などを聞いた。
——昨今の市場を取り巻く環境をどのように見ていらっしゃいますか。
「昨年の異常値とも言えるコロナ特需の反動があるものの、これは想定内であって、大きな影響が出ているといったものではありません。ただ、本当に厳しい状況は来年やってくると思われます。業績面でも、やはり特需の反動が影響して推移してきましたが、10月以降は前年並みに戻りつつあります。それでも、原油価格が高騰していることに加え、次亜塩素酸ソーダや過酸化水素など一部を除きほとんどの原料が値上がりしており、来年以降は本当に難しい状況に入ってくるでしょう」
——第2工場に第2棟として化粧品工場を増設されましたが、この狙いは。
「いわゆるトイレタリーと称する分野、すなわちハンドソープやボディーソープ、シャンプー・リンスといった製品を強化していきたいと考えました。また、マウスウォッシュなど医薬部外品も手掛けていく予定です。これらの引き合いも徐々に増えてきており、漂白剤や洗剤、柔軟剤などと合わせて多種多様で高品質の製品が生産でき、先方からの注文にも柔軟に対応できる企業を目指したいと考えています」
——自社ブランドを豊富にそろえる一方、PB商品、OEM生産と、幅広く仕事ができるメーカーとして知名度は高まっているようですが。
「現在、売り上げの構成比はPB商品が約5割、OEM3割、自社ブランド2割といったところです。最近ではシャンプー・リンスのPBなど、トイレタリー関連の引き合いも増えてきています」
消費者からの評価を励みにより良い商品を
——消費者や外部からの評価は、大きな励みとなりますね。
「もともとは苦情や意見が寄せられることも多い消費者相談室ですが、より良いものを提供していくことを続けてきたことで、最近は称賛や激励の声をたくさんいただけるようになってきました。丁寧な手紙を寄せてくださる方もいます。そうした方にはお礼の手紙をお送りしています」
——そうした対応も、仕事が増える要因の一つになっているのでしょうか。
「例えば、同じ漂白剤であっても、当社では自社ブランドもスーパーやドラッグストア、ホームセンターなど各小売チェーン向け製品として生産を行っています。注文があれば短期間で出荷することも求められるますから、一定の在庫を抱えておくことも必要です。そのため、自動倉庫を含め約1万パレットを収納する能力を備えています。何より、次亜塩素酸ソーダのような原料を用いた製品でも、クレームを最小限に抑える努力をしてきたことが、信用をいただける一つの要因になっているのではないでしょうか。万が一クレームが発生した場合でも、とにかく迅速に対応、行動することと、原因の本質を突き止め正しい措置を取ることが重要です。この二つは社内でも徹底しています」
——今後、どういう会社を目指したいと考えていますか。
「社長職を退いても経営を進めていける体制づくりは当然のこととして、その上で中長期的な視点から考えることが需要と認識しています。洗剤類だけでは収益性に限界があり、トイレタリー製品の工場を増強して利益性を追求するということに加えて、しっかりした設備を持ち、管理も適切に行い、信頼できる企業だと認知していただくことで、また注文をいただけるようになると考えています」
「更には、日本国内では人口減少が続くことから、現在のベトナム工場を基点として、東南アジアでの拡売を目指していきます。コロナ禍で周辺国でも衛生意識が高まりを見せていますので、これに対応していきたいと思います」
——これからの企業にとって、環境問題への対応は切り離せないものとなりそうです。
「環境問題への対応は、企業の生き残りを賭けて取り組んでいかねばなりません。例えばボトルからパウチへの移行はもとより、ボトルでなければいけないものは重量を減らしたりすることが必要です。そして、廃棄物もできるだけ減らし、あるいは再利用できないかといったことも考えていかねばならないでしょう」
(詳細は「日用品化粧品新聞」11月29日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)