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東京都化粧品日用品卸連合会が生存領域拡大へ向け「フレイル予防対策勉強会」実施

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東京都化粧品日用品卸連合会が生存領域拡大へ向け「フレイル予防対策勉強会」実施

 高齢者におけるフレイルの割合は8・7%、その予備軍は40%

 卸売業が生存領域を拡大するために何をすべきか——。そんな課題を掲げ、東京都化粧品日用品卸連合会(都連)は4月19日、東京都中央区のTKPセントラルカンファレンスセンターで、合同支部会として「フレイル予防対策勉強会」を開いた。他の卸組合を含む組合員及び賛助会員、メディア関係者らが出席。社会的な関心も高まるテーマだけに、これを製配の各社が今後の展開にどう結び付けていくか、様々な視点から意見を交わす場となった。
 歳を重ねて健常と要介護の中間に位置し、身体や認知の機能が衰える状態を指すフレイル。その予防対策に日用品・化粧品の業界は貢献しなければならないと主張する森友徳兵衛会長(森友通商)が冒頭であいさつを述べて勉強会は始まり、基調講演としてユニ・チャームの坂本光利首都圏営業1部長が、自社の取り組むフレイル予防対策の概要などを説明した。
 これによると、日本国内の高齢者におけるフレイルの割合は8・7%で、その予備軍は40%を超えるという。国も2018年からフレイル対策事業を始動している。反面、一般的には十分に認知されていないため、ターゲット層の家族を中心に啓発していくことが重要とされている。認知度が低い反面、共感度は高く、各方面からは取り組む意義は大きいという声も挙がっている。
 また、フレイルを予防するには「栄養」「身体運動」「社会参加」がポイントと言われている。坂本部長は自社の尿ケアと共に、ライオンのオーラルケア、大塚製薬の栄養ケアと、3社合同での提案事例を紹介し「早期の認知と理解、適切な商品選択による満足を提供価値として設定。初期段階が鍵であることから、デジタル媒体を中心に啓発と商品、サービスの提案を行った」と述べた。

 今以上に製配販の協力関係を強くすることが必要に

 これを受けて卸側では、サプリコの平井誠一社長、冨田ライオン堂の冨田吉泰社長、西川商店の西川宏社長が、自社の事情環境などを踏まえたフレイル対策の考え方などを提言した。更に、出席した賛助メーカーの全社(エステー、エビス、ファイントゥデイ資生堂、貝印、花王GCMK、牛乳石鹼共進社、サンスター、日本製紙クレシア、バスクリン、ライオン)も、今回のテーマに関わる商品やマーケティング展開、施策、今後の方向性などを説明し、製配が活発に意見を交わした。
 結びで森友会長は「コロナ禍でなかなか集まれなかった会議がリアルで実施できたことは大きい」としつつ「フレイル対策で商品やサービスを提案するのはメーカーの仕事で、それをどう組み合わせて、売り場でどう実現していくか考えるのは地域卸の仕事。その前提として今回のような勉強の場を持てたことは一歩前進と考える」と述べ、更にテーマの深掘りを含めた取り組み深化を目指していくことを示唆した。 
 記者の視点
 高齢化社会が進む国内において、フレイル予防は大きな課題の一つで、官民挙げての対策が求められている。一般的な認知をどう広げていくか、また、商品・サービスを提供する業界として何をどう進めていくか、ここにきて多少の事例が見えてきたものの、複数企業が連携した取り組みはまだ少なく、未開拓の分野も多いのが現状だ。
 この動きを加速させ、製配販それぞれの市場を拡大すること、そのために卸売業がなすべき役割は何か、更には異業種との連携も視野に業界として社会貢献するにはどうすべきか、考えるべきことは実に多い。
 今回の勉強会を機に大きな課題にチャレンジしていくことになるが、コロナ禍で機会が減っていたリアルの場での会議を再開できたことは、今後より深い議論に踏み込んでいくのに一歩前進したと言える。2歩目、3歩目と歩んでいくためには、今以上に製配販の協力関係を強くすることが必要。まずは、より広い範囲で参加する企業や関係者が増えていくことが期待される。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」4月25日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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