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下半期の化粧品トレンドを分析、大きく位置付けが変わったカテゴリーに眉関連品

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下半期の化粧品トレンドを分析、大きく位置付けが変わったカテゴリーに眉関連品

 前向きな気持ちを持てる状況が重なり、新しいフェーズに

 十分距離が取れる屋外などでのマスク着用は不要とする政府方針、飲食店への営業時間短縮要請の終了など、新型コロナウイルス感染症に関連した様々な義務、規制が緩和されている。この2年、マスク着用機会の増加などで大きな影響を受けてきた化粧品のトレンドが、変わりつつある潮目にあると言えるだろう。“おうち美容”の拡大、耐久メイクの伸長など、如実に表れてきた変化は、今後どうなっていくのか。生活者の動向、メーカーの提案などから見えてくる傾向を追った。
 「コロナ禍」「マスク」の口コミは減少
 昨年10月の緊急事態宣言解除、今年3月のまん延防止措置解除などを契機に、アフターコロナに向けた消費者機運の高まりが注視されている。売り上げ動向や口コミなどから見える意識変化と美容プラットフォーマーとして培っていた知見から、今後の美容トレンドを予測する「@cosmeトレンド予測部」を立ち上げたアイスタイルによると、@cosmeの口コミで「コロナ禍」「マスク」というキーワードが2020年以降、増加傾向にあったが、ここにきて減少しており、生活者の気持ちが変わってきていることがうかがえるという。
 東京・原宿の@cosme TOKYOで接客も行う、@cosmeメンズビューティアドバイザーの村上宏明氏は「入店客数の上昇など、今年に入って人流が動いていることを感じます。著名ユーチューバーの“爆買い動画”を見て自分も買い物を楽しみたい、スタッフからアドバイスを受けて商品を購入したいという人も増えています」と明かす。
 サプライズやワクワク感求める声も
 そんな中、口コミが増えるなど注目が集まっているのが、クリスマスなどに向けて日を経るごとに少しずつギフトを開けていき、サプライズを楽しめる「アドベントカレンダー」コスメだ。@cosme編集部・尾崎舞子氏は「偶発的な出会いとワクワク感をもたらしてくれることに価値を感じる人が増えたようで、一昨年よりも昨年の方がコンテンツへの関心が高まっていました。中身はミニサイズ品なので、人気ブランドのアイテムを手軽に試せることも人気の要因となったようです。またミニサイズコスメを試すという背景には失敗したくないという意識、サステナブルへの関心の高まりなどもあるように感じます」と分析する。
 どんな商品が出てくるか分からないというリスクがあるため、将来に不安を抱える中で安心・安全を求めてロングセラー品への支持が高まっているという現状と相反する流れのように見えるものの、@cosmeリサーチプランナーの西原羽衣子氏は「ブランドへの信頼感という土壌があるからこそ受け入れられていると言えるでしょう。コロナ禍での我慢が続き生活者がストレスの限界値を迎える中、ワクチン接種率の増加やまん延防止措置の解除など前向きな気持ちを持てる状況が重なり、新しいフェーズに入ってきたように感じます」と指摘する。

 リハビリ期間へて徐々に〝日常メイク〟へ回帰

 カラバリ増えるアイブロウは大豊作
 コロナ禍のメイクトレンドで、大きく位置づけが変わったカテゴリーとしては眉関連品が挙がる。「ピンク、パープルなどカラー系のアイブロウが増え、大豊作といっていいほど」(尾崎氏)で、自分に似合わない流行の眉よりも、骨格に合う、髪色に合う、気分に合うなど、自分に合った眉を求めるというのも新しい流れ。若年層だけでなく、少し上の世代に向けたアプローチも目立っており、多彩なアイテムが市場をにぎわせている。
 眉毛の形を整えてもらったり、カットしてもらったりする「眉サロン」も話題となっている。尾崎氏は「育毛やパーマなどもでき、コロナ禍のタイミングで施術をする人が増えました」と分析する。更に「眉は男性の意識が高いパーツの一つで、名刺交換の際に気になるネイルを整えるという人が出てきたように、試していく人が増えていくのでは」と大きく広がっていく可能性も示す。「自分に似合う眉、綺麗な眉の描き方をプロに教わるということも必要になってくるかもしれません」(村上氏)というように、眉にまつわるアイテムや情報は、ますます生活者の関心を集めていきそうだ。
 ユーザーの気持ちに寄り添った提案を
 気温が上がる時期に向けて熱中症の恐れも指摘され、今後はマスクを外すシーンが増えてくることも予想されるが、メイクトレンドもこれに伴って変わっていくのだろうか。西原氏は「少しずつ慎重にマスクを外していくようになるのでは。まだまだ様子見の状況であると思います」と分析する。「1〜2年かけて編み出してきたウィズコロナ時代のメイクに慣れてしまい、コロナ前のメイクの仕方を忘れていないかなど心配も多いはず。そのためメーカーには、不安な気持ちに寄り添った提案が求められているのではないでしょうか。アイシャドウの色味が淡いものから濃いものへと変化するなど、現在のトレンドと地続きのリハビリ期間を経て、徐々に日常に戻っていくはず」と見据える。
 ジェンダーレスでユーザーの若返りに
 様々な場面で重視されるようになった「多様性」は、化粧品でも取り入れられている。前述した眉アイテムも同様だが、流行に合わせてこのようにしなくては、という考えから生活者が脱却している様子がうかがえる。
 ジェンダーレスを打ち出したところ、ブランドユーザーの若返りへとつながったケースも見られるなど、新たな提案でユーザーが手に取りやすくなり、性別、年齢などターゲットの広がりに貢献した事例も出てきているという。
 これまで以上に、ブランドの打ち出し方が大事になっているということは言えそうで、西原氏は「例えば、これまでは二重まぶたが美しいとされてきましたが、韓国メイクの影響から一重メイクが注目されるようになるなど、バイアスが払拭され、マイノリティーがトレンドをつくるケースも増えると感じます」とも予測する。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」7月11日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で
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