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【園芸用品】市場は拡大から横ばい、更なる発展に向けより分かりやすさ打ち出す

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【園芸用品】市場は拡大から横ばい、更なる発展に向けより分かりやすさ打ち出す

 構成比が最も高く伸び率も堅調なのが除草剤

 コロナ禍の在宅時間の増加に伴い、販売規模が拡大する園芸用品市場。コロナ3年目で伸びも落ち着いているが、カテゴリーによっては勢いが増すものもあるなど、全体としては着実な進展が見られているようだ。近年の動向や各メーカーの販売施策などを追った。

 コロナ禍以降、市場の拡大が報道などでも取り上げられる機会の多かった園芸用品市場だが、園芸用品と言っても、種苗や土、エクステリア、作物用及び不快害虫用の殺虫・殺菌剤、肥料、除草剤、犬猫忌避剤など多岐にわたる。ここでは、日用品メーカーの取り扱いの少ない種苗や土、エクステリアを除いた数字を見てみる。
 市場の販売金額は、2019年が前年比1%減の約665億円(当社推計)。ほぼ前年並みもダウントレンドから上昇に転じることはできなかった。それがコロナ1年目の20年に12%増の約750億円に拡大、21年も5%増の約780億円と順調に推移。22年(1~10月)は0・5%減の約720億円と落ち着きを見せている。
 21年のカテゴリー別の動向は、構成比が最も高く伸び率も堅調なのが除草剤で、5%増の約345億円。22年(1~10月)も、全てのカテゴリーが縮小する中、唯一成長を続けている。次に構成比が高いのが肥料で、8%増の235億円、次いで作物用殺虫・殺菌剤が4%増の約130億円という実績を残している。
 除草剤は、花や野菜を育てるシーンだけでなく、単に雑草の処理を目的とする人も多く、園芸ユーザー以外の取り込みも考えられ、更に各メーカーの新製品投入などで店頭露出の増加、認知拡大が進んだことから、言わばコロナ禍での園芸ブームとも取れる市場の急上昇及びその反動とは無縁の動きを見せているようだ。

 殺虫・殺菌剤はユーザー需要に各社それぞれ対応
 
 作物用の殺虫・殺菌剤では、各メーカーの差別化に向けた取り組みがうかがえる。
 作物用の殺虫・殺菌剤は、大きく農薬と天然由来系の非農薬に分けられるが、前者は確かな効果、後者は安全性といった長所でユーザー需要が高まっている様子。それぞれの動きを見ると、年平均約3%の成長率で推移する農薬では、後発ながら、市場の成長を上回った伸び率を示すアース製薬が今年1月「アースガーデン」シリーズから、特化性の強い「花いとし」「野菜うまし」を投入。既存の園芸用品とは一線を画すデザイン性や、ブランドの世界観を打ち出し、生活雑貨のような存在にすることで各方面からの支持を集めた。更に来春は、汎用タイプの「いろいろな植物つよし」を投入し、シリーズとしてユーザーの裾野拡大を狙う。
 また、市場を長年リードする住友化学園芸は来春、非農薬でかつ効き目を追求した「ベニカナチュラルスプレー」「ピュアベニカ」の2品を投入。これまでの「ベニカ」シリーズの販売実績の高さを元に、より安全性を訴求した展開で、ユーザーの満足度向上を図る考えだ。
 デジタル施策でユーザーの囲い込み強化
 園芸用品市場は、観葉植物や、サボテンなどの多肉植物を育てる若年層が増加傾向にある。あるメーカーの調査では、若年層はSNSでの拡散需要などを目的の一つに、高齢層より園芸に投資する金額が大きいという実態もあり、各メーカーでは、若年層を始めとした「園芸初心者」を“中断者”とさせないことに注意を払っている。そのため、園芸初心者でも失敗しないよう分かりやすい製品の提案に加え、ツイッターやLINE、ユーチューブなど、直接ユーザーに訴えかける施策で囲い込みを進めている。今後も、園芸中断者を出さないことは、業界の最大の課題であることは間違いないと言え、それをどう実現していくか。ユーザーに寄り添い、より身近な存在感を得られるかどうかが市場を左右する大きなポイントになりそうだ。

 (詳細は「日用品化粧品新聞」11月28日号/または日本経済新聞社「日経テレコン」で)
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